コラム
COLUMNヒアルロン酸注入によるほうれい線治療の効果や持続期間、メリット・デメリットを詳細に解説
年齢を感じさせるエイジングサインの代表的なものとして、気にしている方も多いほうれい線。
ほうれい線の解消を目的とした美容治療は数多くありますが、その中でも人気の方法の一つが、ヒアルロン酸注入によるものです。
ヒアルロン酸注入によるほうれい線治療について、具体的な効果や持続期間、そしてメリットやデメリットといった部分を詳しく解説します。
ヒアルロン酸注入(ヒアルロン酸注射)とは?
ヒアルロン酸は化粧品などにもよく使用されていて、1gで6リットルもの水分を抱え込む事ができる、非常に保水(保湿)能力にすぐれた成分です。
元々ヒトの体内にも多く存在していて、肌の弾力や水分を保つ保湿成分として重要な役割をはたしています。
このヒアルロン酸を硬めのジェル状に精製して皮下に注射によって注入する事で、皮膚を内側から持ち上げる方法がヒアルロン酸注入です。
ヒトの体内で合成される成分と同じであるため副作用などの心配が少なく、安全性の高い治療となっています。
ヒアルロン酸注入で改善できる悩みは?
ヒアルロン酸注入は皮膚を物理的に持ち上げる手法ですので、組織の「不足」を補うような治療で主に用いられます。
例えばほうれい線や目元のシワのように肌のハリが失われて目立つようになるエイジングサインや、こめかみの窪みなどです。
また、エイジングサインの他にも鼻を高くしたいというご要望や、唇の厚みを増やしたいというもの、バストサイズをアップしたいという場合の施術にも使用されるように、幅広いお悩みの解消法として用いられます。
ヒアルロン酸注入は他の治療と比べても短時間で施術が可能な点が特徴で、注射による注入を行うだけなので5分もあれば治療が終わります。
この手軽さが人気の理由の一つで、すぐに治療が受けられて効果もすぐに分かるという点から、最も多く利用されているプチ整形の一つになっています。
具体的に適応となるお悩みについては下記の通りです。
顔のリフトアップ
加齢によって生じるフェイスラインのたるみは、皮膚のハリを作るコラーゲンやエラスチンといった組織の減少や皮下脂肪の減少、さらには骨の減少などによって窪みが生じ、余った組織が垂れ下がる事によって生じます。
ヒアルロン酸注入によって不足している組織を補い、内側から持ち上げる事で、このたるみを改善する事ができますので、顔のリフトアップ効果を得る事ができます。
ほうれい線などのエイジングサインについても、このリフトアップ効果によって改善する事ができます。
シワや溝の改善
ほうれい線や首にできる深いシワは、肌表面のケアで改善する事は困難です。
ヒアルロン酸注入で直接シワや溝のある部分の凹みを埋める事で、肌を内側からしっかりと持ち上げて、深いシワや溝を改善していく事ができます。
肌の潤いケア
ヒアルロン酸は元々肌の潤いを保つ成分として存在しているように、高い保湿能力が期待できます。
肌のバリア機能は充分な潤いによって保たれていますので、ヒアルロン酸によって保湿能力を高める事で、より美しく健康的な肌質を手に入れる事ができます。
深いシワの改善やプチ整形としてのヒアルロン酸注入ではなく、肌の水分量を高める治療としての水光注射や、肌の代謝を引き上げる作用を持った特殊なヒアルロン酸なども開発されています。
涙袋形成
ヒアルロン酸注入によるプチ整形で人気のものの一つが涙袋形成です。
涙袋は目元の眼輪筋が発達する事によって作られるものですが、ヒアルロン酸の注入によって手軽に同じ見た目を作る事ができます。
鼻を高くする
鼻を高くしたいという際にも、ヒアルロン酸注入によるプチ整形が行われます。
注射だけで簡単に鼻筋を持ち上げたり、鼻先を高くしたりという変化を作る事が出来るため、こちらもとても人気の治療です。
注意点として、鼻へのヒアルロン酸注入は注入の深さや量などを適切に行わなければ理想の形を作るどころか余計に鼻を丸くしてしまったり、場合によっては失明などのリスクを伴う事もありますので、必ず症例経験が豊富で人体の解剖を熟知している医師の施術を受けるようにしましょう。
美容外科としてのキャリアが長い医師や、形成外科の専門医などを取得している医師であることが一つの目安となります。
輪郭・フェイスラインの形成
あご先やこめかみ、おでこ(額)などへのヒアルロン酸注入によって、輪郭を整える事ができます。
輪郭は多少の変化でも大きく顔の印象を変える部分ですので、どこにどのくらいの量を注入するのかを医師とよく相談して施術を受けましょう。
バストアップ・ヒップアップ
バストサイズやヒップサイズのアップにもヒアルロン酸注入で対応する事が可能です。
バストアップやヒップアップには、インプラントバッグの挿入や脂肪注入などの方法もありますが、どちらも身体的な負担が大き目の手術になるため、ダウンタイムを安静に過ごせる時間が作れないという方や、一度お試しでボリュームアップしてみたいという方に人気です。
ヒアルロン酸は永続的ではなく、一定の持続期間がある
ヒアルロン酸注入による治療で注意しなくてはならないのが、効果の持続が永続的ではないという点です。
始めに「ヒアルロン酸は体内に存在している成分」とご紹介しましたが、人の体内では定期的に新しいヒアルロン酸が作られ、古くなって不要となったヒアルロン酸は分解されるという仕組みを持っています。
そのため、人の体内にはヒアルロン酸を分解する「ヒアルロニダーゼ」という酵素が存在しており、注射によって注入したヒアルロン酸についても、この酵素の働きによって徐々に分解されていく事となります。
分解にかかる時間は注入するヒアルロン酸製剤の種類や注入方法にもよりますが、大体1年から2年で分解されてなくなっていくものとなります。
また、ヒアルロン酸の分解は一定期間を過ぎたあとで急激に行われるものではなく、注入後に少しずつ分解が進んでいく形となりますので、注入直後の充分な効果が持続する期間としては半年程度と言えるでしょう。そこから徐々にボリュームの減少を実感するようになり、1年から2年後には元の状態に戻るというイメージとなります。
ヒアルロン酸注入メリット
ヒアルロン酸注入のメリットは以下の通りです。
治療にかかる時間が短く手軽
注射を行うだけの方法であるため、治療にかかる時間は部位にもよりますが早くて5分程度で完了する非常に手軽な治療です。
実際の注入では洗顔や麻酔なども行うためもう少し時間がかかりますが、1時間の休憩時間の間でも受ける事が出来るほどです。
注入直後から効果を実感できる
ヒアルロン酸注入は物理的に皮膚を持ち上げる方法ですので、治療直後から効果を実感する事ができます。
結婚式などの大切なイベントを、直前に治療を受けて最高の状態で迎えたいという場合などで利用しやすい点もメリットといえます。
ダウンタイムが無い
切開などが不要で注射による治療のみで完結するため、ダウンタイムが無いという点もメリットです。
治療後に生活で制限される事が無いため、安心して治療を受ける事ができます。
高い安全性
元々体内に存在している成分を注射するものですので、非常に安全性が高い治療です。
また、注入した状態が理想と違っていた場合でも、ヒアルロニダーゼを注射する事ですぐに注入したヒアルロン酸を分解して元の状態に戻せるという点も安心のポイントです。
ヒアルロン酸注入のデメリット
メリットの一方で、デメリットとして考えられるのは下記の通りです。
医師の技術力不足による仕上がりの問題
ヒアルロン酸は注射で簡単に行える治療とはいえ、注入には医師の技術力が問われます。
注入の量を安定した形で行えずにバラつきが出てしまえば凹凸が生じてしまいますし、注入量が少ない所は早く吸収されてしまいやすくなるなどの差も出てきます。
こうしたトラブルを回避するためには、技術力のある信頼できる医師の施術を受ける事が大切です。
内出血などのトラブル
ダウンタイムの心配がほぼ無いヒアルロン酸注入ですが、注射の際に毛細血管などが傷つく事で内出血が生じる可能性はあります。
内出血は数日でおさまりますが、長引く場合は治療を受けた医院で相談しましょう。
しこりやその他のトラブル
リスクの少ないヒアルロン酸注入ですが、柔らかいヒアルロン酸を注入するべき所に硬いヒアルロン酸を入れてしまったり、注入がかなり浅い場所になってしまっていたりというような場合でしこりのような状態になってしまうケースがあります。
また、鼻筋への注入においては注射する層や量によって、血管が詰まって失明などのリスクが生じる事も分かっています。
こうしたリスクを回避するためにも、やはり豊富な症例をもつ美容外科医や、解剖に精通した形成外科専門医などの医師による施術を受けるようにすると良いでしょう。
本コラムの監修医師
1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック
医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹