コラム

COLUMNヒアルロン酸でほうれい線を解消する方法について、診察の手順や注意点などを詳しく解説

年齢を感じさせる要素の一つであるほうれい線。ほうれい線は加齢に従って皮膚や表情筋がたるむ事で目立ってくるエイジングサインであり、セルフケアで解消する事がなかなか難しいお悩みの一つです。
そんなほうれい線を手軽に目立たなくする方法の一つがヒアルロン酸注入。今回はこのヒアルロン酸注入によるほうれい線解消治療ついて、具体的にどのような流れで治療を行うのか、またどのような点に注意が必要なのかなどを詳しく解説します。

ほうれい線とは何か

ほうれい線は、頬を動かす筋肉の「頬筋」と口元を動かす「口輪筋」という筋肉の間に出来る溝の事で、小鼻の横当たりから「ハ」の字に口元へ広がるように出来ます。
鼻と唇の間にできる溝という事もあり鼻唇溝(びしんこう)とも呼ばれます。

ほうれい線の最大の原因は肌のたるみと表情筋のゆるみ

ほうれい線が深くなる大きな要因として、肌のタルミと表情筋のゆるみがあります。
肌の内部は大きくわけて「表皮層」「真皮層」「皮下組織」という3つの層に分ける事ができますが、このうちスキンケア化粧品などで潤いを与えて健康な状態を保つとよく表現されるのは、一番表面にある「表皮層」という部分。そして、コラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった弾力のある美容成分が豊富にあって、肌のハリを保っている部分が「真皮層」という部分になります。

真皮層は若い頃には充分な量のコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸といった成分が存在しているため、弾力があってピンと張った状態を保っています。
しかし、年齢を重ねるとこのコラーゲンやエラスチンといった美容成分を作り出す代謝機能がだんだんと衰えていく事で、真皮層はすかすかな状態になってしまい、肌の弾力が失われてハリの無い肌になっていきます。
この変化によって、若い頃はピンとハリがある健康的な肌だったのに、加齢によってだんだんとハリの無い、たるんだ肌になってしまい、たるんだ肌がほうれい線の影を濃くしてしまう事となります。

また、真皮層の下には皮下組織があり、この皮下組織は「皮下脂肪」や筋肉、そして骨といった肌の土台となる部分です。
こちらも若い内はしっかりと強度のある筋肉によって全体が支えられているのですが、加齢によって代謝が低下すると筋力も徐々に低下していくため、皮下脂肪や表皮、真皮が支えきれなくなります。
筋肉による支えが弱くなると、重力に従ってその部分は下にたるむ状態となりますから、これもほうれい線を深くする大きな要因となります。

ほうれい線を予防するためには

ほうれい線が深く目立つようにならないようにするためには、日ごろのスキンケアが大切です。
特に、真皮層へのダメージを防ぐ事や筋力の低下を予防する事が大切となります。

紫外線対策をしっかりと行う

真皮層の代謝が低下していく原因の大半は、実は紫外線によるダメージの影響ともいわれています。
紫外線は肌表面に日焼けを引き起こしてシミを作るというイメージが強いと思いますが、UV-Aとよばれる波長の長い紫外線は、皮膚表面(角質層)のバリアを通過して真皮層の線維芽細胞にもダメージを与えます。
線維芽細胞はコラーゲンやエラスチンといった肌のハリを保つ美容成分を作り出す細胞であり、これが紫外線によって破壊されていくと、真皮層内で作られるコラーゲンやエラスチンの量がどんどん減少していきます。
つまり、紫外線のケアを怠っていると肌のハリを保つための代謝を行っている細胞そのものが減少してしまうため、肌老化が早く引き起こされてしまうのです。
肌のハリが失われるとほうれい線が目立ってくる事は前述の通りですので、紫外線対策を充分に行う事がほうれい線の対策へと繋がります。

なお、紫外線は日差しの強い夏場の方が強いイメージがありますが、この真皮層に届くUV-Aは秋冬や曇りの日であっても、多くの量が降り注いでいます。
そのため、日差しが弱いからといって日焼け止めの使用などを怠っていると気が付いたら肌のダメージが大きくなってしまうという状況に陥ります。
紫外線対策は1年を通して、しっかりと行うようにしましょう。

肩や首の筋肉のコリを放置しない

現代病とも言われる肩こりや首コリは、頭や顔の血流を悪化させてしまいます。
細胞は血液から栄養や酸素を受け取って活動していますので、血流が悪化すると細胞の代謝が不十分となって、衰えが生じてきます。
顔の肌や表情筋が代謝の低下により衰えると、たるみ、そしてほうれい線が深くなる大きな原因となります。

肩こりや首コリは、デスクワークによって体を動かす機会が減少していたり、スマートフォンを使用する際などに首が伸びた状態の姿勢を維持していたりといった事が原因で引き起こされやすい症状です。
また、パソコンやスマートフォンといった強い光を生じる画面を長時間凝視していると、眼精疲労から頭皮や首、肩と筋肉が緊張していってコリを生じやすくなります。

なるべく肩こりや首のこりへと繋がらないように普段の行動を見直したり、定期的な運動などのケアによってコリを解消する事がほうれい線の予防にも繋がります。

極端なダイエットや偏った食生活をしない

血流の低下によって細胞へのエネルギー供給が減少する事で代謝は低下していきますが、食事によるエネルギーの摂取が不足する場合にも、当然の事ながら代謝が低下する事となります。
極端に食事を制限するようなダイエットであったり、栄養バランスが整っていない偏った食生活は肌や筋肉の代謝を低下させて老化を早める要因となりますので、栄養のバランスが取れた食生活を送るようにしましょう。

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ヒアルロン酸注入によるほうれい線治療とは

ほうれい線を目立たなくする美容治療として、非常に手軽で確実に効果が得やすいと人気のものがヒアルロン酸注入です。
ヒアルロン酸は元々肌に存在している成分で、非常に多くの水分を抱え込む性質があって肌のハリや潤いを保つために重要な役割をはたしています。
このヒアルロン酸を、そのまま肌に注射してもすぐに体内に吸収されて無くなってしまいますので、特殊な方法で吸収されにくくした状態の製剤(フィラー剤)を皮下に注射し、肌の内側からハリを作る方法が、ヒアルロン酸注入による美容治療です。

注入するヒアルロン酸製剤にはいくつものタイプがあり、それぞれ触った時の感触や体内に残り続ける持続期間などが異なります。

ヒアルロン酸注入のメリット

ヒアルロン酸注入によるほうれい線解消のメリットとしては以下のものが挙げられます。

手軽に行える

ヒアルロン酸注入は、注射でヒアルロン酸を注入するだけの方法ですので施術にかかる時間は10分程度です。
注射の際に痛みがあるため表面麻酔を行ってから注入を行う事が多い治療ですが、麻酔を含めても1時間かかるという事はありません。
気になった時に気軽に受けやすいという点はヒアルロン酸注入の大きなメリットと言えるでしょう。

すぐに効果が実感できる

ヒアルロン酸注入は物理的に肌の内側からハリを作り出す方法ですので、その効果を治療後すぐに実感する事が可能です。
例えば結婚式など大切なイベントを最高の状態で迎えたいというような場合に、直前に施術を行ってもベストな状態を作り出す事が出来るため、スケジュールの調整がしやすいという点も魅力といえるでしょう。

ダウンタイムが無い

注入の際に注射針による傷は生じますが、基本的にヒアルロン酸注入によって術後に何か生活への支障が生じるという事はありません。
治療後に痛みなどが生じる事も無く、メイクもすぐに行えるものですので、ダウンタイムがなくて気軽に受ける事が出来るという点もメリットの一つです。

ヒアルロン酸注入のデメリット

一方で、ヒアルロン酸注入による治療は下記のようなデメリットもあります。
メリットやデメリットをしっかりと認識して、自身にあった最適な治療を選択しましょう。

効果は1年から2年程度しか持続しない

注入したヒアルロン酸は、注入から一定の時間が経過すると徐々に分解されて体内に吸収されていき、最終的には注入前の状態に戻ります。
そのため、ヒアルロン酸注入による効果の持続は、使用する製剤の種類や注入方法などにもよりますが大体1年から2年程度であり、効果を持続させるためには定期的な注入が必要になるという点がデメリットとして挙げられます。

内出血のリスクがある

ヒアルロン酸注入はほとんどリスクが無く、ダウンタイムも無い治療ですが、皮下に注射を行うという性質からどうしても毛細血管を傷つけて内出血を引き起こしてしまうというリスクがあります。
内出血が出た場合でも、ほとんどは数日以内、長くても2週間以内には目立たなくなっていきますので過剰に心配する必要はありませんが、大切な予定に合せて治療を受ける際はこの内出血のリスクを考え、多少の余裕を持って施術を受けるようにした方が良いでしょう。

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ヒアルロン酸注入の流れ

クリニックでのヒアルロン酸注入は、下記の流れで行います。

医師による診察とカウンセリング

まずは専門の医師によって肌の状態を診察し、お悩みの解消にヒアルロン酸注入が適しているかどうかの確認と、最適な治療方法のカウンセリングを行います。
ほうれい線の状態や、肌悩みの原因によってはヒアルロン酸注射ではなく糸リフトやフェイスリフト術など他の治療をおすすめする場合もあります。
ヒアルロン酸注入を行う事でどんな仕上がりになるのか、どのように注入していくのかなど、しっかりと認識をすり合わせながら最適な治療プランを決めていきます。

注射箇所の洗顔と表面麻酔

ヒアルロン酸注入を行う際は、注射する箇所のメイクなどを洗顔で落としていただいてから、表面麻酔を行います。
麻酔無しで注入を行われる方もいらっしゃいますが、細いとはいえ注射針を何度かに分けて指していく事になりますので、麻酔を行われる方が多いです。
クリームによる表面麻酔の場合、塗ってから30分程度おいて麻酔が効くのを待つ必要があります。

デザインに沿ってヒアルロン酸を注入

ヒアルロン酸の注入は、注射器によって行います。
肌表面に刺さる時と、薬剤が注入されていく時に多少の刺激がありますが、麻酔を行っている場合はほとんど痛みを感じる事はないでしょう。
カウンセリング時にすり合わせたデザインに沿って注入を行い、注入後に少しもみほぐすようにしてなじませたら施術完了です。
注射した場所から少し出血する事はありますが、針が非常に細いのですぐに止血が可能で注射後の保護テープなども必要ありません。

仕上がりをご確認いただき、日焼け止めなどを塗ってご帰宅

注入が完了したら仕上がりを確認していただき、必要に応じて日焼け止めやメイクを行ってご帰宅いただけます。

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より良いヒアルロン酸注入を受けるためのポイント

ヒアルロン酸注入でより良い結果を実感いただくためのポイントをご紹介します。

注入経験が豊富で技術力のある医師を選ぶ

ヒアルロン酸注入は注射による手軽な治療ではありますが、注入のデザインや注入方法などによって、仕上がりや持続期間に大きく差が生じます。
治療の手軽さから皮膚科専門のクリニックや、歯科医院などでも行われる事がありますが、神経の位置や血管の位置などを把握しながら、注入する深さや量を適切に調整して行わなければ危険なケースもありますので、形成外科など解剖をしっかり理解している医師による施術を受ける事が、良い結果や安心に繋がります。

目的にあった製剤を選ぶ

ヒアルロン酸は製剤によって固さ(触った感触)や持続力が異なります。
治療の目的に合せて最適な製剤を選ぶ事が、仕上がりのデザインや持続期間の満足度を引き上げるポイントとなります。

ジュビダームビスタ®ボルベラ

ボルベラは柔らかい質感のヒアルロン酸で、肌になじんで触った感触が良くなりやすいという特徴があります。柔らかい質感のため、唇や涙袋のボリュームアップなどでもよく利用されます。
持続期間は1年程度で、持続期間が短い点がデメリットです。
柔らかい質感なので注入によってデコボコなどが出来にくく、触った感触としても違和感が起こりにくいメリットがある一方、肌を持ち上げる力はそこまで強くないので、場合によっては物足りないと感じてしまう事もあります。

ジュビダームビスタ®ボリフト

ボリフトはボルベラよりは少し硬めではあるものの、ヒアルロン酸の中では柔らかめといった感触の性質です。
適度な柔らかさから、ほうれい線やゴルゴラインといったエイジングサインの他、頬やこめかみなどのボリュームアップにも用いられます。
持続期間は1年から1年半ほどで、柔らかい質感の中では長持ちしやすいのが利点です。

ジュビダームビスタ®ボリューマ

ボリフトよりももう少し硬い感触で、皮膚をしっかりと持ち上げる事ができます。
ほうれい線の他、小じわや窪みの治療、鼻筋や顎といった部分のボリュームアップにも使用されます。
持続期間が2年程度と長く続く点が大きな利点です。
ほうれい線に直接注入して薄くするのではなく、頬に注入してハリを作って持ち上げる事でほうれい線をケアするという方法も行われます。

ジュビダームビスタ®ボラックス

硬い感触のヒアルロン酸で、鼻やあご、フェイスラインのボリュームアップに主に用いられます。
ほうれい線を埋めるというよりは、顔全体のタルミをケアしてほうれい線を薄くするというイメージで使用する形となります。
持続期間は1年半程度です。

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ヒアルロン酸は溶かす事が出来る

ヒアルロン酸注入では、場合によって注入箇所がデコボコになってしまったり、仕上がりのデザインが希望と異なってしまったというような事が起こるリスクがありますが、この場合にはヒアルロニダーゼというヒアルロン酸を分解する酵素を注射する事で、すぐにヒアルロン酸を溶かして元の状態に戻す事も可能です。
ヒアルロニダーゼも体内で元々合成されている成分ですので、何かトラブルがあってもリスクなしで元に戻せる手軽さもヒアルロン酸注入のメリットといえるでしょう。

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本コラムの監修医師

1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック

医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹

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