コラム
COLUMN失敗? 目の下のたるみ取りで後悔しないために注意するべきこと
目元の整形術として人気がある目の下のたるみ取りですが、実はしっかりと適応などを見極めて行わないと後々のトラブルが出てしまう事も多い箇所であり、過去にたるみ取りを行ったがその修正をしたいというご相談をいただく事もあります。
今回は目の下のたるみ取りで失敗して後悔しないよう、どのような点に注意するべきかなどを詳しく解説します。
目次
目の下のたるみはなぜ発生する?
目の下に出来るたるみは、多くの場合生まれつき先天的にあるものではなく、加齢によって発生する後天的なものです。
目の下のたるみ取りで失敗しないためにも、まずはタルミが引き起こされる原因について知っておきましょう。
目立つタルミの原因は「脂肪の移動」
タルミというと加齢による肌のタルミが一番思い浮かびやすいですが、目の下のたるみについては単純に皮膚がたるむんでいるのではなく、目の周囲にある「眼窩脂肪」という脂肪が移動する事が原因となっているケースが多いものです。
目の周囲は様々な筋肉や脂肪組織によって支えられているのですが、注目するべきは眼球の下側でクッションのような役割をはたしている眼窩脂肪と呼ばれるものと、目の周囲にある「眼輪筋」という目を閉じる役割の筋肉です。
眼窩脂肪は眼球を支えるクッションの役割をはたしているため、眼球の重さによって横に広がろうとしている状態です。イメージとしては柔らかいボールを上から押さえつけているような状態で、押しつぶされて横に広がっていくと、目の下あたりから外側に向けて飛び出す方向に行ってしまいます。
これが飛び出してこないで保たれているのは目元の皮膚と眼輪筋の働きによるもので、眼輪筋が眼窩脂肪を抑え込む事で、眼窩脂肪は一定の位置にとどまりクッションの役割をはたしています。
しかし、眼輪筋も他の筋肉と同じで加齢によって衰えてしまうため、その働きは徐々に弱まって眼窩脂肪が飛び出してくるのをおさえられなくなります。
すると、目の下に脂肪が飛び出してくる形となって膨らみが出来て、膨らんでいる箇所とそうでない箇所の間に出来る段差が目立つ事で、目の下が大きくたるんでいるように見えてきます。
これが加齢によって生じる目の下のタルミとして多い状態です。
皮膚が弾力を失ってたるむ事もある
肌は表皮層、真皮層、皮下組織という層に分かれ、このうち真皮層に多く含まれて肌の弾力を維持しているものが「コラーゲン」や「エラスチン」です。
コラーゲンやエラスチンといった弾力を作る成分は、真皮層にある「線維芽細胞」という細胞の働きによって作られています。
しかし、この線維芽細胞の働きも加齢によって徐々に低下していってしまうもので、線維芽細胞の働きが低下して新しくコラーゲンやエラスチンが作られる分量が減少してくると、真皮層は弾力をうしなって肌にハリがなくなっていきます。
肌は真皮層の弾力によってハリのある状態に保たれていますので、ハリがなくなるとしぼんだ状態になり、小じわやタルミが目立つようになります。
こうした変化が目の下の皮膚でひきおこされると、肌のハリが無くなる事によるタルミとなります。
また、眼窩脂肪を支えているのは主に眼輪筋の働きですが、肌もその役割を一部になっており、肌の弾力が失われると更に眼窩脂肪の突出を防げない状態となりますので、よりタルミが目立つ形となります。
加齢だけではなく眼精疲労にも注意
目の周囲の支えを衰えさせないためには、加齢だけではなく眼精疲労にも注意が必要です。
眼精疲労は目の周囲の血流を悪化させてしまい、目元が血行不良になると眼輪筋や目の周囲のじん帯、目元の皮膚への十分な栄養供給がされなくなるため、働きが低下していしまいます。
近年はパソコンやスマートフォンなどのディスプレイを長時間見続ける方が増え、眼精疲労が原因となり筋肉やじん帯の働き、皮膚の弾力などが低下しやすくなっています。
定期的に目を休ませたり、温めて血流を良くするケアを行うなど、目の疲れをためないように工夫する事も目元のケアとして大切です。
目の下のたるみ取りとして行われる美容整形
目の下のたるみは飛び出してきている眼窩脂肪によるものですので、美容整形ではこの眼窩脂肪を減少または移動させる術式によって、目の下の膨らみやタルミを解消するのが主流です。
方法としては、眼窩脂肪を除去してしまう方法と脂肪を移動させる方法(ハムラ法)があります。
経結膜脱脂
経結膜脱脂は、眼窩脂肪を脱脂(除去)して目元の膨らみやタルミを解消する術式です。
まぶたの内側(結膜)を切開して眼窩脂肪を引っ張り出して切除してから縫合する方法で、まぶたの内側に傷跡が出来るため通常であれば跡が見える事はありません。
膨らみの原因である脂肪を減少させるため、確実に効果を得る事ができます。
ハムラ法(裏ハムラ法)
ハムラ法は、眼窩脂肪を切除するのではなく、窪んでいる方に移動させる事で目元への突出を解消し、目の下の膨らみやタルミを解消する方法です。
まつげの生え際から切開するものをハムラ法、まぶたの裏側から切開するものを裏ハムラ法と呼ぶ事がありますが、基本的には同じです。
目元の膨らんでいる箇所の脂肪をくぼんでいる箇所に移動する術式のため、膨らみと凹みを同時に解消したい場合に有効です。
目の下のたるみ取りで後悔しやすい「脂肪の取りすぎ」
経結膜脱脂やハムラ法で脂肪の除去や移動を行う方法は、確実に目元の膨らみ・たるみを解消する事ができる術式ですが、一方で「やらなければ良かった」と後悔する方も一定数いらっしゃいます。
そのよくあるケースが、眼窩脂肪の取りすぎです。
前述の通り眼窩脂肪は眼球を支えるクッションの役割をはたしていますので、脂肪を過剰に取りすぎてしまうと眼球が支えられなくなって下がり、目がくぼんだ「奥目」のような状態になるなど、トラブルの原因にもなります。
脂肪を取りすぎてしまった場合は脂肪注入やヒアルロン酸注入によってボリュームを追加する事である程度回復させる事も可能ですが、ヒアルロン酸の場合は定期的な治療を繰り返す必要がありますし、脂肪注入もどの程度が生着するかが完全にはコントロールできないため、理想的な状態を作るのが困難です。
美容医療では多いものは減らす事ができますが、不足しているものを足す事は困難ですので、とにかく取りすぎないようにする事が重要です。
目の下の膨らみやたるみは眼窩脂肪を減少させる事で確実に改善できるため、安易に一定量の脂肪を除去してしまうケースがあるようですが、どの程度の脂肪を減らして、どの程度残すべきかといった分量は患者様ひとりひとりによって異なり、その程度を適切に見極めないと、取り戻せない状態になってしまいます。
目の下のたるみ取りで失敗して後悔しないために、安易に脂肪の除去を受けるのではなく、しっかりと解剖学を理解して、信頼できる医師を見つける事が重要です。
まずはお気軽に城本クリニックにご相談ください
城本クリニックでは、目の下のたるみの状態を専門の医師がしっかりと診断し、具体的にどのような治療が適しているのか、どのような治療を行っていくのかをご提案させていただいております。
一部のクリニックではどのような治療を行うかを無資格のカウンセラーとの話で決めるケースもあるようですが、目元の治療は繊細さが求められる部分ですので、解剖学など医療知識を十分に有した医師の診断が非常に大切であり、正確な診断の上で治療を行う事が、美容治療成功には必要不可欠です。
また、城本クリニックではすぐに治療の実施を決めるのではなく、複数の医院でのセカンドオピニオンも推奨しております。
ご自身にどのような治療が適しているのか、じっくりと考えていただく事が後悔の無い治療のための重要なポイントとなりますので、まずは一度お気軽にご相談いただければ幸いです。
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本コラムの監修医師
1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック
医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹