コラム
COLUMN離れ乳(離れたバスト)の原因と対策は?セルフケアで行える改善方法はある?
バストのお悩みの一つに、左右のバストが離れた状態であるというものがあります。一般的にこの状態を離れ乳と呼びますが、改善する方法などが無いものとして諦めている方も多いのではないでしょうか。
実は、離れ乳も正しくケアを行う事で改善が可能であり、また美容治療でも離れ乳を改善する方法があります。
今回は離れ乳について、原因や対策方法などをセルフケアで行える内容と美容治療での内容を含めて詳しく解説いたします。
整ったバストと離れたバストの違いとは
バストの形は人それぞれ異なり、体型全体で美しく見えるかどうかが異なるものではありますが、多くの人が整っていると認識するようなバストは下記のような特徴があります。
- 左右のバストトップを結んだ線の長さと、バストトップと鎖骨の窪みを結んだ線の長さが等しい
- 腕をまっすぐにおろした時、バストトップの位置が二の腕の中心あたりにくる
- バージスラインがはっきり見える
バージスラインとはバスト下部の線の事で、ブラジャーを着用する際はこのラインとブラジャーの支えを合せるとバストの形を綺麗にみせやすいと言われているラインです。
バージスラインがはっきり見えると、バストがくっきりとした形で見えるため女性らしい整ったバストの形として見えやすくなります。
バストトップの位置は綺麗に見えるための重要なポイントで、上記で紹介したような位置にトップが来るとハリのある綺麗な形のバストにみえ、バストの形もバランスよく見えます。
逆にいえば、バストトップの位置が上記で紹介した位置とズレているとバランスが悪くみえやすく、例えばバストトップを結んだ線の長さが、バストトップと鎖骨の窪みを結んだ線よりも明らかに長くなってしまうと、バストが離れすぎのいわゆる「離れ乳」という印象に繋がります。
もちろんバストが綺麗に見えるかどうかはこれが全てではなく、肌のハリやボリュームの影響もありますし、バスト以外の部分との体型におけるバランスやその時の流行などによっても変わるものですので、一つの参考としてみてください。
離れ乳の原因
バストの位置が離れたように見えてしまう離れ乳の原因はいくつかあります。
丸胴である
上半身の形を上から見た時、平べったい楕円ではなく丸に近いような丸胴の方は、バストの方向がそれぞれ斜めに出る形となるため、バストトップが離れてしまい離れ乳になりやすいといえます。
丸胴は骨格や筋肉のつき方によって生じるもので、筋肉のコリなどが原因の場合はこれを解消する事で改善が見られる場合もあります。
バストが下垂している
バストはクーパー靱帯などの支えによってピンとハリのある状態が保たれていますが、加齢や運動などによってクーパー靱帯が損傷したり伸びたりすることや、皮膚や筋肉といったバストの形を維持している組織が弱る事で、支えが弱くなって下垂します。
バストが下垂すると、いわゆる垂れ乳の状態になるだけではなく、下垂の仕方によってはバストトップが中心から離れた位置に移動してしまい離れ乳の状態になる事があります。
バストを支える筋肉が衰えている・こっている
バストを支えている筋肉としては大胸筋や小胸筋があり、大胸筋はバスト全体を支える形で、小胸筋はワキ辺りからバストの方向に伸びている筋肉です。
大胸筋がしっかりしているとバスト全体が持ち上げられ、中央によるような形になりやすいのに対し、大胸筋が衰えるとバストが下垂したり、横に流れたりしやすくなります。
小胸筋もバストを持ち上げる働きを持っている他、鍛えるとバストの外側にしっかりと支えが出来るためバストが内側に向きやすくなりますが、逆に衰えるとやはりバストが外側に流れやすくなってしまいます。
また、筋力の衰えだけではなく筋肉のコリも影響があり、小胸筋が疲労などによって緊張して固まると、バストが外に引っ張られた状態で固定される形となるため離れ乳になりやすいといえます。
バストを支えるこれらの筋力をアップさせる事や、コリをほぐしていく事が離れ乳の改善に繋がります。
脂肪が流れてしまっている
脂肪は非常に柔らかい性質の細胞であり、圧迫などによって位置の変化がおこるものです。
毛細血管と繋がって存在しているため、例えば二の腕からバストの方まで移動させるというような事はできませんが、バストの中で外側やワキの方に集まってしまうなどの移動があると、バストの形が外に流れたような状態になります。
圧迫などによって脂肪が大きく移動するような状態ではクーパー靱帯も引っ張られて伸びやすくなっていますので、補正下着などを活用して脂肪がワキなどに流れてしまう事を防ぐ事で離れ乳や垂れ乳の予防となります。
離れ乳の方が感じやすい悩み
離れ乳の方が感じやすいお悩みとして下記のようなものがあります。
谷間が出来にくい
バストが離れた状態にあるため、ブラジャーなどで寄せても谷間が出来にくいのが離れ乳の方に多いお悩みの一つです。
中央にボリュームができにくいため、バッド入りのブラジャーや水着を着用しても谷間が出来にくく、場合によっては不自然な形になりやすい事もあります。
ボリュームが少なく見える
バスト自体の大きさが同じであっても、中央側に寄った形と離れた形の場合では、離れ乳の方がボリュームが少なく小さいように見えてしまいやすいといえます。
老けて見える
バストの位置が離れているとデコルテ周辺の範囲が広く見えるため、バストが垂れているような印象を持たれやすく、老けた印象に繋がりやすくなります。
ブラジャーの圧迫を感じやすい
ブラジャーの選び方にもよりますが、場合によってはワイヤーなど圧迫が強い箇所がバストにあたりやすくなり、圧迫されて痛いと感じやすくなります。
離れ乳を予防・改善するためのセルフケア
離れ乳を予防・改善するために効果があるセルフケアをご紹介します。
胸の筋肉のストレッチ・マッサージ
離れ乳が気になる方は、まず胸の筋肉の緊張をほぐす事を試してみましょう。
大胸筋や小胸筋がこっていると、バストが外側を向いた状態で固定されてしまい離れ乳になっている可能性がります。
ストレッチとしては、肩に指先を当てながら腕をなるべく大きく前に10回、後ろに10回回すといった動的ストレッチや、背中側で両手の平を組んで胸を開くように伸ばすといったストレッチなどがあります。
マッサージをする場合は鎖骨の周囲を内側から脇の方に向けてなでるような形で行ったり、脇の下や脇と胸の間あたりを軽くもみほぐしたりするようなケアなどがあります。
ただし、マッサージについてはあくまでも血流を促進する程度で良いため、強く擦ったり揉んだりするのは控えましょう。強い刺激はかえって筋肉の緊張の原因となる可能性もあります。
補正下着やナイトブラを利用する
補正下着やナイトブラは、バストの脂肪が脇のほうに流れてしまうのを防ぐ働きがあり、離れ乳の予防や改善に役立ちます。
特に、寝る時はバストが圧迫されやすい状態となりますのでナイトブラを適切に利用すると良いでしょう。
また、ブラジャーの選び方についてもバストサイズなどに合せて適切なものを選ぶようにする事が大切です。
体型が変わっても同じサイズのブラジャーを着用し続けるなど、適したサイズではないブラジャーを着用していると離れ乳や垂れ乳を引き起こす原因になりますので、定期的にサイズの見直しも行いましょう。
バストの揺れを防ぐ
連続したジャンプやジョギングなどバストが大きく揺れる動きは、バストを支えるクーパー靱帯にダメージが加わりやすく、バストの下垂などを進めてしまう可能性が高いです。
運動をする際にはしっかりとバストを支える下着などを着用して、なるべく揺れ動く事が無いように注意しましょう。
猫背に気を付ける
首が前に出ていたり、背中が大きく曲がってしまったりという猫背の状態は首や肩の筋肉に負担がかかりやすく、筋肉の緊張や血流の悪化の原因となります。
筋肉の緊張が離れ乳の原因となる可能性がある事は前述の通りですが、血流の悪化も周囲の細胞の代謝を低下させる原因となり、バストを支える皮膚や筋肉の代謝が低下してしまうと組織の衰えによって離れ乳の原因となりますので、猫背になってしまう方はなるべく意識して正しい姿勢で日常を過ごすようにしましょう。
筋力トレーニングでバストを中央に寄せる
大胸筋や小胸筋を鍛えて土台のボリュームをアップさせると、バストが内向きとなって離れ乳を改善させる事ができます。
大胸筋や小胸筋のトレーニングとしては腕立て伏せ(プッシュアップ)や、仰向けになった状態でダンベルなどのおもりを持ち、腕を伸ばしたまま体の横から胸の前まで持ち上げるようなトレーニングがあります。
また、手軽に行える方法としては胸の前で両手の手のひらをくっつけて押し合わせるという方法などもありますので、生活スタイルに合せてとりいれてみて下さい。
筋肉がつく事でバストの形が中央に向くだけではなく、バストサイズがアップしたり、上向きの綺麗な形を手に入れる事もできます。
離れ乳の改善として行える美容整形
離れ乳は美容整形である豊胸術で改善する事が可能です。
豊胸術にも様々な手法がありますが、離れ乳の改善では特に脂肪注入による方法がおすすめです。
脂肪注入による豊胸術
脂肪注入法は、お腹や太もも、二の腕といった場所から脂肪を採取してバスト内に再注入するという豊胸術です。
バストサイズのアップと同時に脂肪が多い場所の痩身を行う事が出来るため、一度で理想的なボディラインが作れる点が人気の施術となっています。
また、自分の脂肪を使用するため拒否反応などのリスクが少なく、人工物であるインプラントバッグを挿入する方法と比べて長期的な安全性が高いという点もメリットと言えるでしょう。
ただし、脂肪注入法は注入した脂肪が100%そのままバスト内に定着するのではなく、20~50%程度は異物として体内に吸収されて無くなってしまいます。
注入した脂肪細胞が定着するためには毛細血管と接続して血液から栄養などを得られる状態になる必要があるのですが、注入した細胞が全て定着する事は難しく、定着率を向上するために「ピュアグラフト」や「コンデンスリッチファット」のような方法もありますが100%定着という状態は難しいのです。
そのため、脂肪注入の際にはある程度ボリュームが減少してしまう事も見越して注入を行う必要があり、理想的なデザインを作り上げるためには医師の技術やノウハウが重要となります。
離れ乳でお悩みの方の場合、脂肪をバストの外側に注入する事でバストトップの位置を内側に押し込むような形にしたり、逆にバストの内側や上部に脂肪を注入して谷間が出来やすいような形状にしたりという注入が行われます。
どのような注入の仕方が最も理想的な仕上がりになるかは人それぞれで異なりますので、症例経験が豊富でデザイン力、技術力の高い医師とじっくり相談していく事が、高い満足度を得るためのポイントです。
脂肪注入以外の方法:ヒアルロン酸豊胸
バストの形を整える術式としては、ヒアルロン酸注入による豊胸術もあります。
脂肪注入と異なりヒアルロン酸注入の場合は用意された製剤をそのまま注射するだけなので、術後のダウンタイムなども無く非常に手軽に受けられる点が大きなメリットです。
ただし、ヒアルロン酸は体内にある「ヒアルロニダーゼ」という酵素で分解されていくため、1~2年程度が経過すると体内で分解・吸収されてなくなってしまいます。
脂肪注入であれば一定量は残り続けて永続的な効果が得られるのに対し、ヒアルロン酸注入の場合は永続的な効果は期待できない点がデメリットといえます。
乳房固定術(乳房挙上術)
バストサイズをアップさせる豊胸術ではなく、あくまでも下垂した乳房を引き上げて形を整える術式です。
乳頭の周囲や乳房下部を切開し、下垂してしまっている部分などを必要に応じて除去してから、理想とする位置に乳頭を移動させて縫いとめる事でバストの下垂や離れ乳の状態を解消する事ができます。
バストのボリュームを増やしたいのではなく、あくまでもバストの形を整えて綺麗な状態にしたいという方におすすめです。
まずはお気軽にご相談ください
離れ乳となっている要因は一人ひとり異なり、原因や対策方法、そして治療として行える方法も人それぞれです。
正しく原因を知って、最適な治療を行う事がお悩みを解消するための近道となりますので、まずは一度専門医による相談を受けてみてはいかがでしょうか。
城本クリニックでは無資格のカウンセラーはおらず、医療資格を保有した医師や看護師がしっかりとお悩みを伺って最適なケア方法、治療方法をご提案させていただいております。
もちろん、治療を行うかどうかを強要するような事はありませんので、まずは一度お気軽にご相談ください。
本コラムの監修医師
1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック
医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹