コラム
COLUMN毛穴の開き(開き毛穴)を治す方法丨原因と特徴から医師が解説
毛穴の開きは、スキンケアの主な悩みの一つです。しかし、その原因や特徴、そして改善方法について具体的に知っている人は少ないのではないでしょうか。
この記事では、毛穴の開きを改善する方法について、原因と特徴を踏まえたうえで医師が解説します。
毛穴の開き(開き毛穴)とは
毛穴の開き(開き毛穴)とは、肌表面にある毛穴が「皮脂の過剰分泌」や「皮膚のたるみ」によって拡大し、開いたままの状態になることです。特に鼻や頬などによく現れます。
毛穴が開くと肌が粗く見えたり、メイクのノリが悪くなったりするなど、見た目にも影響を及ぼします。また、開いた毛穴は汚れが詰まりやすくなり、肌トラブルの原因ともなります。
毛穴の開きの原因
毛穴の開きの原因には、主に次の二つがあります。
皮脂の過剰分泌
肌の乾燥によって皮脂の分泌が過剰になると、毛穴が開いたままになります。これは、特に思春期やホルモンバランスの変化時に多く見られます。また、ストレスや不規則な生活が要因になることもあります。
加齢による肌のたるみ
20歳を過ぎると、皮膚の真皮層(表皮の下にある層)のコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸の生成量が減少します。それによって肌の弾力が失われ、毛穴が広がっていきます。
毛穴の開きの特徴 年代・部位・肌質による違い
毛穴が開く原因は主に皮脂の過剰分泌や加齢による肌のたるみですが、年代・部位・肌質によって開いてしまう理由が少しずつ異なります。
それぞれの違いを知ることが、正しい対策への第一歩となるため、ここで把握しておきましょう。
年代による違い
10代の思春期では、皮脂の分泌が活発になるため、毛穴が目立つようになることが多く見られます。また、ニキビ跡に汚れが溜まって開いてしまうこともあります。
20代は10代よりも皮脂の分泌量が減る一方、ストレスや睡眠不足などの生活習慣の乱れから、毛穴が開いてしまうことがしばしば見られます。顔に付着した汚れや皮脂をきちんと落としていないことで毛穴が詰まり、目立つようになるケースも少なくありません。
30~40代以上になると、加齢によって皮膚の弾力性が失われ、たるみが進むことで毛穴が開くようになります。
部位による違い
毛穴の開きは、部位によっても理由が異なります。
例えば、頬の毛穴の開きは、主に加齢によるたるみによるものです。一方、鼻や眉間、額などのいわゆる「Tゾーン」は皮脂の分泌が活発で黒ずみや角栓ができやすく、それによって毛穴の開きが目立つようになります。
肌質による違い
肌質によっても毛穴が開くプロセスに違いがあります。
乾燥肌の場合、皮膚が十分な潤いを保てないために角質が硬くなり、毛穴が目立つことがあります。特に冬場の乾燥した環境では、毛穴の開きが進行しやすくなります。
脂性肌の場合は皮脂分泌が活発で、この皮脂が毛穴を詰まらせ、毛穴の開きを招きます。
敏感肌の場合は、ストレスや不規則な生活習慣、ホルモンバランスの乱れのほか、紫外線などによって肌が乾燥し、毛穴の開きにつながります。
ニキビ肌の場合は、ニキビがつぶれたところにできるクレーター部分に汚れや皮脂が溜まり、毛穴の開きを進行させます。
毛穴の開きの改善につながる3つのセルフケア
毛穴の開きを改善するには、日頃のセルフケアが重要となります。ただし、間違った方法をとってしまうと、かえって状態が悪化することも……。改善につながる適切な方法をご紹介します。
クレンジングや洗顔
毛穴の開きを改善していく際にまず欠かせないのが、クレンジングや洗顔で、皮膚に付着した汚れやメイクをしっかり落とすことです。
クレンジングにはさまざまな種類のものがありますが、「オイルクレンジング」を使用すれば、毛穴に詰まったメイクや皮脂をしっかりと落とせます。ただ、洗浄力が強いため、乾燥肌の人は皮脂を適度に残せる「クリームクレンジング」、敏感肌の人は「低刺激」や「無添加」の表記があるものにするのがおすすめです。洗顔料も、同様に洗浄力で選ばず、自身の肌質に合ったものを選びましょう。
クレンジングや洗顔を行うときは、肌を強くこすらないのもポイントです。事前にホットタオルを使って肌を蒸らしておくと、汚れやメイクが落ちやすくなり、必要以上の力を入れずに洗うことができます。
スキンケアや保湿
毛穴の開きへの効果的な対策として、スキンケアと保湿で肌の乾燥を防ぐことも挙げられます。
洗顔後の肌は乾燥しやすくなっているため、化粧水で肌に水分を補給します。その後、美容液を使って気になる箇所のケアを行い、肌の水分が蒸発しないように乳液、保湿クリームの順につけていきましょう。
生活習慣の見直し
毛穴の開きを改善するには、生活習慣の見直しも大切です。
食生活については脂っこいものを食べすぎないようにし、肌の健康に役立つビタミンA(レバーや乳製品)・B2(鮭や納豆)・B6(にんにくやこんにゃく)を積極的に取り入れるようにしましょう。もちろん、バランスを意識することも重要です。
また適度な運動も行うようにしましょう。運動をすると血行がよくなり、肌の新陳代謝(ターンオーバー)を促すとともに、皮脂の分泌も抑えられます。
このほか、睡眠をしっかり取る、ストレスをできるだけ溜めないようにすることも重要です。
毛穴の開きの治療方法 特徴やリスク、料金を紹介
毛穴の開きと一言で言っても、人によって程度はさまざまです。上記で紹介したセルフケアを行っても、状態がなかなか改善されない場合もあるでしょう。
その際は、美容皮膚科による治療を検討してみてください。セルフケアでは改善が難しい場合でも、専門知識を持つ医師の治療を受けることで理想の肌を得られる場合があります。
当院で行っている治療方法をご紹介します。
ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは、毛穴の開きを改善するための一つの治療法として、広く認知されています。
グリコール酸やサリチル酸(フルーツ酸の一種)を用いて肌表面の古い角質や毛穴の詰まりを取り除き、肌の新陳代謝を正常化させます。
ダーマペン
ダーマペンは、ステンレス製の微細な針を持つペン状の装置を使用して、皮膚に極小の穴を開け、肌の再生を促進する方法です。これにより、新たな肌組織が形成され、コラーゲンが作られることで毛穴の開きが改善されます。
また、ダーマペンを使用する際は、症状や肌質に合わせて針の長さを選択します。これにより、一人ひとりに最適な治療を可能としています。
ポテンツァ
ポテンツァは、マイクロニードルとRF(Radio Frequency:高周波)を用いた施術です。
微細な針を肌に刺し、針の先端から熱エネルギーを送り込むことで、真皮層に軽度のダメージを与えます。これによって細胞の修復機能を活性化させ、コラーゲンの生成を促すことで、毛穴の開きの改善を実現します。
また、肌に刺したマイクロニードルを引き抜くときに、美容成分が含まれた薬剤を注入(ドラッグデリバリーシステム)し、より高いスキンケア効果をもたらします。
毛穴の開きの治療を受けるときの注意点
リスクと費用の把握
毛穴の開きの治療を受けるときは、事前に治療内容のメリットだけでなく、リスクや費用についても把握しておくことが大切です。
毛穴の開きに有効な治療方法は多様ですが、いずれの方法でも、赤みや腫れ、アレルギー反応などが現れるリスクや副作用があります。人によっては、あらかじめ聞いていた期間よりも長引く、症状が悪化する可能性もなくはありません。
また、毛穴の開きを改善するためには、基本的に複数回、治療を受ける必要があります。理想の結果を手に入れるためには、ある程度の費用がかかることはおさえておいたほうが良いでしょう。
このリスクや費用について、十分な実績を持つ医師であれば、誠実かつ正直に伝えてくれます。もし医師からこれらの説明を十分に受けられないときは、別のクリニックの選択を視野に入れたほうが良いでしょう。
アフターケア
毛穴の開きに有効な治療方法を受けると、肌が刺激に対して敏感になります。施術直後は肌をこすらない、できるだけ紫外線を避ける、などを心がけましょう。
また、メイクが可能になったタイミングでも、いきなり濃いメイクをしないようにすることをおすすめします。
毛穴の開きについてよくある質問
一度開いてしまった毛穴は戻らない?
一度開いた毛穴を完全に閉じることは困難ですが、ある程度引き締めることはできます。ただし、開き具合の程度によって適切な対策は異なります。
軽度な開きの場合、適切なスキンケアや生活習慣の見直しによって改善が期待できるでしょう。
一方、開いた状態が進行している場合は、セルフケアの効果が見られないことが多いため、美容皮膚科などの医療機関に一度相談することをおすすめします。
開いた毛穴を放置するとどうなる?
開いた毛穴を放置すると、老廃物や皮脂が毛穴に詰まりやすくなります。老廃物や皮脂はニキビの原因になるだけでなく、硬化して角栓となることもあります。角栓は酸化すると黒ずみになり、さらに毛穴が目立ってしまうようになります。そのため、できるだけ早めに対処することが大切です。
ワセリンで毛穴を閉じる方法はある?
ワセリンは皮膚に保湿効果をもたらすため、一部の方々から毛穴のケアに利用できるとの声があがっています。
ただ、ワセリンは油性であるため、脂性肌の場合は毛穴の詰まりを引き起こし、余計に毛穴が開く可能性があります。また、ワセリンが皮膚の呼吸を阻害し、結果的に肌トラブルを起こすこともあります。
そのため、特別な理由がなければ、スキンケア商品を適切に使うことをおすすめします。
レチノールは毛穴の開き改善に効果がある?
レチノールはビタミンAの一種で、肌の新陳代謝(ターンオーバー)を促し、皮膚を健康に保つ効果が認められています。そのため、レチノール配合の化粧品を用いると、毛穴の開きの改善が期待できます。
一方で、レチノールは副作用として肌の乾燥や赤み、かゆみが報告されています。使用を検討するときは、医師に相談して確かな情報を得るようにしましょう。
まとめ
毛穴の開きは、さまざまな原因が複合的に絡み合って生じます。それらは年代、部位、肌質により多岐にわたります。
そのため、セルフケアの方法もありますが、人によっては時間が思った以上にかかる、あるいは効果が見られない、といったこともないわけではありません。
早めに改善したい、着実に治したい、という場合は、医師への相談を検討してみましょう。
本コラムの監修医師
1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック
医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹