コラム
COLUMN豊胸手術の種類による違いを徹底比較。自分にあった治療法はどれ?
胸を大きくするための美容整形術、豊胸術にはいくつかの方法がありそれぞれにメリットやデメリットがあります。
豊胸術をうけてみたいけれど、自分にあった方法が分からないという方は是非この記事を参考にしてみてください。
豊胸手術は大きくわけて3つの方法があります
現在様々なクリニックで行われている豊胸手術は、大きくわけて3つの方法があります。
一つ目は「人工乳腺」とよばれる、シリコンなどで作られた柔らかいバッグを挿入する人工乳腺法。
二つ目はプチ整形などで利用されるヒアルロン酸のジェルを注射する方法。
三つ目がお腹などから採取した脂肪細胞を注入する方法です。
それぞれの特徴について詳しく紹介します。
なりたい大きさが実現しやすい人工乳腺法
バストの大きさを理想とする状態に仕上げやすい方法が人工乳腺法です。
人工乳腺はシリコンなどが材料となって出来た柔らかいバッグの事で、インプラントバッグやシリコンバッグなどとも呼ばれます。
バッグは適度な柔らかさがある半球の形をしたものとなっていて、これをバストの土台である大胸筋の近くに挿入する事で、バストを押し上げてボリュームアップをします。
バッグの挿入はワキなどを切開し、挿入箇所の組織の癒着を剥がしてから行われ、挿入後に切開部位を縫いとめて手術は完了します。
人工乳腺法のメリット
人工乳腺法は挿入するバッグの選択で、どの程度のボリュームアップを行うかやどのようなデザインにするかなどがある程度自由に決めやすい点がメリットです。
後述する脂肪豊胸などの場合はサイズアップに上限などがありますが、人工乳腺であれば細身の方が大幅にサイズアップしたいなどの要望にも応える事ができます。
人工乳腺法のデメリット
一方で人工乳腺法による豊胸手術のデメリットは、術後に傷が回復するまで1ヶ月以上のダウンタイムが必要になるという点や、他の方法と比較すると仕上がりの自然さに劣りやすい点。
そして、カプセル拘縮という独自のリスクが存在する事や、人工物を挿入し続けるという事への心理的な負担などがあげられます。
特に、術後数日間はバストバンドを着用して圧迫する事でバスト内部の組織を癒着させる必要があったり、1週間程度で切開箇所の傷が塞がって抜糸が行われるまでは入浴が行えないなど日常生活での制限も生じます。
1ヶ月程度が経過すれば組織の癒着が行われ生活の不便さは軽減しますが、腫れや切開跡の赤みなどについては半年から1年程度かけてゆっくりと回復していくため、完全に目立たなくなるまでにはある程度の時間が必要になり、その間は手術したことがばれやすくなってしまうという点がデメリットといえるでしょう。
昔と比べて最近のバッグは品質が向上しており、とくにモティバなどは触った感触や動きの自然さがかなり進歩していますが、元々のバストの構造を変えない脂肪注入法などと比べれば多少の不自然さは生じてしまうといえます。
挿入するバッグの種類や大きさ、挿入方法などによって仕上がりをより自然にする事は可能ですので、経験の豊富な医師とよく相談する事が大切です。
カプセル拘縮は、バッグの周囲にコラーゲンによる硬い膜が作られるというもので、カプセル拘縮がおこるとバッグの柔らかさが失われ、形もいびつな状態で固まってしまう事があります。
カプセル拘縮は定期的なマッサージなどによる抑止や、挿入するバッグの種類によっては発生の確立をかなり抑える事ができるものの、体質等によってはどうしても発生してしまう事があります。
バストに人工物を挿入しているというストレスから、年をとってバッグの抜去手術を受けたり、抜去して脂肪注入法を新たに受けるという方も数多くいらっしゃいます。
デメリットを抑えるためにはバッグと医師選びが大切
デメリットの方を多く紹介する形となってしまいましたが、人工乳腺法は「理想的なサイズのバストを手に入れる」という点では非常に優れている方法で、この方法でしか実現できないようなデザインもあります。
治療の際のデメリットを最小限に抑えるためにはまずバッグ選びが大切で、最新のバッグは自然さやカプセル拘縮の抑止など様々な点で非常にレベルが高くなっていますので、こうしたバッグを取り扱っているクリニックを選ぶと良いでしょう。
また、医師の技術力による差も大きく、挿入箇所の決め方や挿入する際の癒着の剥がし方、術後の適切なケアなどによってデメリットを軽減する事ができます。
同じバッグを使っていても、技術力によって仕上がりには大きな差がありますので、症例経験の豊富な医師を選ぶようにするとよいでしょう。
手軽にお試ししやすいヒアルロン酸豊胸
ヒアルロン酸は人の体内でも作られている成分で、肌の保湿や関節のクッションとしての役割をはたしています。
ヒアルロン酸は多くの水分を抱え込んでジェル状になる性質を持っていて、ジェル状のヒアルロン酸を注入する事でボリュームを作り出すプチ整形などに多く使用されています。
また、ヒアルロン酸は粒子の大きさによってジェルにした際の硬さをコントロールする事が可能で、硬めのものは鼻や顎の整形などに、柔らかめのものが豊胸などに利用されます。
元々体内にも存在している成分で作られているため、安全性の高い治療が可能です。
ヒアルロン酸注入による豊胸手術のメリット
ヒアルロン酸注入による豊胸手術の最大のメリットは「手軽さ」です。
他の方法と異なり、注射でバスト内にヒアルロン酸製剤を注入するだけの方法であることからダウンタイムがなく、治療直後から特に変わらず日常生活を送る事ができます。
術後は多少の内出血であったり腫れが生じる事はありますが、傷跡などもほとんど出来ず、すぐに大きなバストを実感する事ができるため、お試しで豊胸手術を受けてみたいという方に最適です。
ヒアルロン酸注入による豊胸手術のデメリット
一方でヒアルロン酸注入による豊胸手術のデメリットは、一定期間で効果が無くなってしまうという点やしこりのリスクが挙げられます。
そのため、ヒアルロン酸注入の豊胸手術による効果は最大でも2~3年となっていて、最終的には元の状態に戻ってしまうという点が最大のデメリットです。
更にいえば、2~3年で効果が消えるといっても、いきなり全部がなくなるわけではなくて少しずつ減少していく事となるため、注入直後の大きさは時間経過と共に徐々に小さくなっていく事となります。
大きさを最大の状態で維持するためには定期的に少しずつ注入を繰り返す必要があり、ずっと大きいサイズを維持したいという方にはあまり適していない方法であるといえます。
しこりが出来てしまうとバストの形が不自然になるなどのトラブルに繋がるため、ヒアルロン酸注入を行う際はこうしたリスクを避けるためにある程度量を抑えての注入が必要となります。
同じような注入法のアクアフィリングについて
アクアフィリングは一時期ヒアルロン酸注入と同じように行われていた注射による豊胸手術で、ヒアルロン酸よりも柔らかさや持続期間が優れているとして人気がありました。
しかし、様々な検証などからアクアフィリングは最終的に体内に吸収されきらず、異物やしこりとなって残り続ける可能性が高いというリスクが判明してきた事から、現在は豊胸手術としては殆ど使用されないものとなっています。
以前にアクアフィリングを入れた方は抜去するための治療などが行われていますが、完全に取り除く事が困難といった状態になってしまっています。
持続期間は体質などによっても異なる
ヒアルロン酸の持続期間は2~3年と紹介しましたが、体質などによってはそれより更に短い期間で無くなるケースもあります。
特に、よく運動をする方やサウナなど血流が促進される施設を利用する方などでは早く分解が進む可能性が高いといえるでしょう。
一方で、1ヶ月などのごく短時間で効果が無くなった場合は正しくヒアルロン酸が注入されていない事を疑った方が良いかもしれません。
中には注入から2週間ほどで無くなってしまったというような話を見かける事がありますが、これはバスト用のヒアルロン酸ではなく、より吸収が早く安価なヒアルロン酸などを混ぜている可能性などが考えられます。
ヒアルロン酸による豊胸手術を受ける場合は、薬剤を正しく取り扱っているクリニックを選ぶようにしましょう。
自然な仕上がりが人気の脂肪注入術
脂肪注入は、体の他の部位から採取した脂肪細胞をバスト内に注入する術式です。
バストは元々殆どが脂肪細胞で出来ているため、構造としての変化が無く非常に自然な仕上がりのバストアップが出来る点が大きな魅力となっています。
また、注入する脂肪はお腹や太ももなどの脂肪吸引によって採取するため、痩せたいところのケアとバストアップを同時に行い、理想とするボディラインに一気に近づける点が非常に大きな魅力です。
脂肪注入術のメリット
脂肪注入術のメリットは、仕上がりが自然である事と一度の治療でボディラインを大幅に変える事が出来る事。
そして、時間経過によって更に大きくなる可能性がある事です。
また、人工乳腺法と違って体に異物が残るわけではないので、心理的なストレスも殆ど無いという点が大きなメリットといえます。
脂肪注入法では同時にお腹の脂肪吸引などが行われるため、一度の治療で理想の体型に大きく近づける事が可能となります。
しかしこの定着率を向上するための方法などもこれまで多くの症例で研究されてきており、非常に高い定着率を実現してきた事などもあって、むしろ長期的には治療直後よりも更に大きくなる症例も多くみられるようになってきています。
脂肪注入術のデメリット
脂肪注入術では、体に負担の大きな脂肪吸引などを同時に行うためダウンタイムが長いという点がデメリットといえます。
また、効果をしっかりと得るためには、術後の過ごし方に対する注意なども他の手法より気を付ける必要があるといえるでしょう。
また、脂肪吸引の際に皮膚の組織や筋膜などに傷がついてしまうと痛みなども生じやすく、日常生活に強い負担が出る事もあります。
内出血や傷跡の回復までにはやはり1ヶ月程度の期間が必要となるほか、むくみの症状や治療による傷跡が目立たなくなるには1年以上が必要となるため、ダウンタイムの長さはデメリットといえるでしょう。
しっかりとセルフケアを行わないとせっかくの手術による効果も減少してしまうため、少なくとも術後3か月程度は医師の指示をきっちりと守り、ケアを行える必要があります。
ピュアグラフトやCRF(コンデンスリッチファット)について
脂肪注入術にはピュアグラフト豊胸やCRF豊胸といった種類がありますが、これは採取した脂肪を注入する前に、どのような形で精製するかという方法の違いです。
注入する脂肪は定着率の高い「破損していない」細胞にする必要があるため、脂肪を採取する際は超音波などを利用せず、細胞をなるべく壊さずに吸引する方法が用いられます。
脂肪細胞と同時に、細胞周辺にある成長因子なども同時に注入される事になるため、細胞の定着率が非常に良好な手法となっています。
不純物を取り除くだけではなく、遠心分離器にかける事でダメージを受けている細胞の除去なども行って定着率が高い脂肪のみを残す事が出来るため、良好な結果が得られるとされています。
一方で、成長因子などの成分も除外されてしまうため、一長一短といえます。
一度の脂肪豊胸によるサイズアップは最大で2カップ程度
脂肪注入による豊胸手術では、脂肪細胞が毛細血管に接続する事で永続的な効果が期待できる形となりますが、存在する血管の範囲などは限られているため、一度に多量の脂肪細胞を注入すると定着できないリスクが高まります。
定着しなかった脂肪細胞の殆どは体内に再吸収されますが、一部はヒアルロン酸と同じようにしこりとなって残ってしまう可能性があるため、一度の手術で注入が可能な量は、大体2カップ程度サイズアップできる程度の量となっています。
目的別に最適な術式の選び方
実際に豊胸手術を受ける際、目的に合せてどのような方法を選ぶと良いかをご紹介します。
ただし、実際には体型や理想とする体型などに合せて最適な術式は異なりますので、信頼できる医師とよく相談して術式を決めるようにする事が大切です。
なるべく自然でストレスのない治療を受けたい方は脂肪注入
脂肪注入による豊胸手術は、現在一番人気がある方法です。
自分の細胞を移動させるという方法のため心理的なストレスも殆どありませんし、何よりも自然な形や感触が得られます。
術後のダウンタイムなどは長い方法ですが、この期間をすぎれば大幅に理想の体型へと近づく事ができますので、とにかく自然で自信がもてるバストにしたいという方は脂肪注入が適しているでしょう。
結婚式などで一時的にサイズアップしたいならヒアルロン酸注入
結婚式などの特別な日に合わせてサイズアップしたいというケースなら、手軽に行えてダウンタイムも少ないヒアルロン酸注入が適しているといえます。
長期的には分解されてしまいますが、安全性も高く簡単にボディラインを変える事ができる点や、傷跡なども殆どない点から、決まった日程に合せて受ける治療として最適な方法です。
特別な日を最高の状態で迎えたいという方や、まずは一度自分のバストアップした状態を体験してみたいといった方に向いている術式といえるでしょう。
とにかくサイズアップしたい方は人工乳腺法
外国人のように、とにかく大きなサイズを作りたいという方や、脂肪が少ない細身体型だけどバストサイズをアップしたいという方は人工乳腺法が適しています。
極端なサイズアップの場合は皮膚が伸びずいきなり大きなバッグを入れる事が出来ないため、何度か手術を繰り返して徐々に大きなバッグに入れ替えていく必要がありますが、理想とするサイズに最も確実に近づく事ができるのが人工乳腺法です。
まずは専門医にご相談ください
それぞれの豊胸手術の比較を行いましたが、どの方法にもメリットやデメリットがある他、実際に治療を受ける方の体型や体質、理想とするバストの形などによって選択するべき手術方法は異なります。
最良の結果を得るためには、やはり最適な方法を選ぶ事が最も大切ですので、まずは自分自身にどのような方法が適しているのか、専門医とご相談ください。
城本クリニックでは、医療資格をもたないカウンセラーなどはおらず、様々な豊胸手術の症例経験が豊富なドクターが診断とカウンセリングを行い、最適な術式の案内をしております。
すぐに治療を行う予定はなくても、自分にあった方法をしっておく事で治療の検討がしやすくなりますので、まずは一度お気軽にご相談ください。
本コラムの監修医師
1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック
医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹