コラム
COLUMN顎の梅干しジワはどうしてできる?ボトックス注射で改善できるって本当?
顎に梅干しのようなシワができてしまう、通称「梅干しジワ」を解消したいという方は、意外と多くいらっしゃいます。
梅干しジワは表情を固く、気難しそうに見せてしまうといった影響だけではなく、顔の中心で目立つ部位にある事から顔全体の肌が荒れているような印象を与えてしまうなど、美容面でマイナスとなる部分です。
今回はそんな梅干しジワの原因やケア方法について、美容治療として人気のボトックス注射による治療効果なども含めて詳しく解説いたします。
梅干しジワとは
梅干しジワは、一般的に顎先にできるシワを指す言葉で、見た目が梅干し(どちらかというと梅干しの種)のような状態である事からの通称です。
主に口を閉じている時に見えやすいシワで、下あごを持ち上げるようなイメージでキュッと口を閉じると深く目立ちやすくなります。
口元に力が入っていない時には目立たない事が多いですが、表情のクセなどで常にシワが入ったような状態に見えてしまうケースもあります。
梅干しジワがあると顔に力が入ったような表情の印象になる事から、普通にしていても怒っているように見られてしまったり、目立ちやすい部分にシワが見えるようになる事から肌が荒れているようにみられてしまったりといったマイナスの作用があります。
梅干しジワが出来る原因
梅干しジワは、下唇から顎の部分にある「オトガイ筋(頤筋)」という表情筋が原因となって表れる症状です。
オトガイ筋は下あごの骨や下唇を持ち上げる働きの筋肉で、下唇を閉じたり突き出したりといった際に動いています。
このオトガイ筋が強すぎると、顎部分の皮膚が過剰に持ち上がってよれてしまうため、顎先に細かい梅干しの種のようなシワができてしまいます。
梅干しジワはオトガイ筋の発達によるシワですが、顔の形状などによって出やすくなる場合があります。
歯並びが悪く、口を閉じる力が過剰になっている
歯並びが悪くかみ合わせが悪いと、通常よりも力を入れて口を閉じる必要が生じるため、オトガイ筋に力が入り発達しやすくなる場合があります。
例えば、上の歯が前方に大きくでた「出っ歯」の方の場合、口を閉じようとしても上唇が上の歯を完全に覆い難いため、その分下唇を上の方まで移動させて口を閉じるような表情筋の使い方となる事が多く、自然と下唇を持ち上げるオトガイ筋が発達しやすくなります。
他にも、口元が全体的に前方に突き出た「口ゴボ」の方は、やはり口を完全に閉じようとすると通常よりも強い力が必要となるため、日常の中で自然とオトガイ筋を強く使いやすく、発達しやすくなるといえます。
また、出っ歯や口ゴボの状態でなくとも、噛み合わせが悪いとどうしても口を閉じる際に強い力が必要になったり、口元を気にして強く唇を閉じるようなクセがつきやすかったりといった状態になるため、梅干しジワが出来やすくなります。
下あごが小さい・引っ込んでいる
口元が前方に突き出したような状態で、口が閉じにくくなるため力が入りやすくなると紹介しましたが、逆に顎が小さく、引っ込んでいるような方の場合もやはり口を閉じるために強い力が必要になるため、オトガイ筋が発達して梅干しジワができやすくなります。
口呼吸となっていてオトガイ筋が衰えている
オトガイ筋が発達しすぎているのとは逆で、衰えている状態も梅干しジワができやすくなります。
これは、オトガイ筋が衰えていると口を閉じる時に通常よりも強い力を使う必要が生じるためで、口呼吸など口が開いた状態でいやすい方に多い状態です。
気が付くと口が開いてしまっているという方や、いびきなどが気になるという方などは口呼吸によってオトガイ筋が弱まっている可能性がありますので注意しましょう。
梅干しジワはボトックス注射で手軽に改善できる
梅干しジワはオトガイ筋が強く働く事で生じるもののため、ボトックス注射で表情筋の働きを抑制する事で手軽に改善する事ができます。
ボトックス注射とは?
ボトックス注射はボツリヌストキシンという、神経の働きを阻害する毒素から作り出した薬を注射する治療方法で、筋肉を動かすという指令が神経から伝わるのを阻害する事で、狙った部位の筋肉の動きを抑制する事ができます。
毒素から作り出した薬剤と聞くと危険に感じるかもしれませんが、人体に悪影響とならない安全な状態に精製されており、過去数十年にわたって世界中で使用されているため、安全性については十分に担保されている治療法です。
ボトックス注射は治療後から筋肉の働きに対する抑制効果が始まり、数か月間、狙った部分の筋肉の働きを押さえます。
ボトックス注射による梅干しジワの改善効果
梅干しジワはオトガイ筋が過剰に使われる事によって生じるため、ボトックス注射によって筋肉の過剰な動きが抑制されていれば、梅干しジワが出てくる事はありません。
ボトックス注射によって筋肉の働きを抑制する効果は永続的ではなく3か月から半年程度とされていますが、長期間に渡って筋肉の動きが抑制されるため、注射部位の筋力が低下して注射による直接の効果が無くなった後も、症状が出にくくなるといった影響が期待できます。
ただし、表情のクセなど表情筋の使い方が変わらなければ少しずつ筋肉も鍛えられていきますので、注射による直接の効果が無くなった後しばらくすれば元の状態に戻ります。
そのため、ボトックス注射による効果は大体半年から1年程度で元に戻るといわれています。
ボトックス注射は手軽に行える点が人気のプチ整形
ボトックス注射は、働きを抑制したい筋肉に直接注射を行うだけの治療法ですので、治療時間は5分もかからず短時間で行える方法です。
薬剤が熱に弱いなどの特徴を持つため治療直後にサウナや入浴といった高温になる行為は避ける必要がありますが、メイクなどは通常通り行えるなど日常生活に対する制限も無いため、その手軽さや負担の少なさが人気の治療となっています。
また、治療目的によって注射する量が異なり、注入する量が多い場合はある程度のコストがかかりますが、顎先の梅干しジワの解消であれば注入量もそこまで多くないため、コスト面でも手軽に受けられる治療法です。
ボトックス注射だけでは根本の解決にはならない点に注意
ボトックス注射による治療は、手軽かつ確実に梅干しジワが出ないようにする事は出来るものの、根本的な原因については解消されないという点に注意が必要です。
前述の通り、梅干しジワは噛み合わせの悪さなどによって「口を閉じにくい」状態の方で症状が出やすいお悩みであるため、ボトックス注射で一時的に梅干しジワが出ないようにコントロールをしても、口を閉じる時に力が入りやすいという状態は変わらないため、症状は元に戻りやすいといえます。
梅干しジワが出ないようにするためには、歯並びの修正や顎の位置を治すなど、根本的な部分での治療が必要となる事が多い症状となりますので、こうした治療による根本治療も含めて医師とよく相談し、最適な治療法を選択しましょう。
自分自身で出来る梅干しジワのケア
梅干しジワを改善するためには、病院での治療ではなく自分自身で行えるケア方法もあります。
口輪筋を鍛える
口を閉じる際には、オトガイ筋だけではなく口輪筋という口の周りを覆うように存在する表情筋が使われています。
口輪筋を鍛えてしっかりと使われるようにする事で、オトガイ筋に力が入りにくくなるため、口輪筋のトレーニングを行う事が梅干しジワの改善に役立ちます。
口輪筋を鍛える方法は様々ですが、最近では口に加えながら上下に動かす事で口元の筋肉を鍛える専用のトレーニンググッズなども販売されていますので、上手に活用するといいでしょう。
咬筋をほぐす
エラの部分にある、歯をかみしめると力が入る部分の筋肉を「咬筋」といいますが、この筋肉がこっていると口を閉じる際に適切に力が入らず、オトガイ筋などを使って口を閉じようとしてしまう状態になる可能性があがります。
咬筋を温めたり、軽くマッサージをしてほぐす事で無理に力を入れずに口を閉じる事ができるようになりますので、特に強く噛みしめるクセなどで咬筋がこっている方は定期的にほぐすようにしましょう。
EMSを使用して咬筋をほぐすような専用のケアマシンなども有効に活用すると良いでしょう。
スキンケアや紫外線対策をしっかり行う
肌に十分な潤いやハリが無くなってくると、肌にシワがよりやすくなります。
オトガイ筋に力が入っていない時でも皮膚がよれた状態に見えてしまいやすくなるので、やはり十分な潤いを与えるスキンケアや、肌老化を予防する紫外線対策は入念に行うようにしましょう。
梅干しジワは手軽なボトックス治療と根本ケアを組み合わせて解消しましょう
梅干しジワは、ボトックス治療で手軽に症状を抑える事が可能ですので、お悩みの方は是非一度ボトックス治療を試してみてはいかがでしょうか。
症状がでている原因などによってはボトックス注射だけでもお悩みを完全に解消する事が可能です。
また、口元の歯並びや骨格などボトックス注射だけでは治療が難しい部分に原因がある場合でも、城本クリニックでは専門の医師が適切に診断を行い、最適な治療法などをご提案させていただきますので、まずはどんな治療があるのか知りたいというだけでも是非お気軽にご相談ください。
ボトックス注射を失敗しないために
ボトックス注射はとても手軽で効果的な治療法ですが、しっかりとお悩みを解消するためにはそれぞれの筋肉の働きやボトックス注射の作用などについて詳しく理解している医師が治療を行う事が必須です。
また、注射する部位や分量は一人ひとりの状態や目的に合せる必要がありますので、治療前に十分な医師の診察とカウンセリングが行われ、どのような治療結果を得たいかという認識を適切に共有できる事が重要となります。
城本クリニックでは、無資格のカウンセラーなどがおらず直接担当の医師と治療についてしっかり話を行う事が可能で、もちろんボトックス注射についても豊富な経験と高い技術力をもって対応を行っておりますので、まずは一度お気軽にご相談ください。
本コラムの監修医師
1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック
医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹