コラム
COLUMN目の下のたるみ、膨らみを改善させるための自宅ケアや治療法について詳しく解説
目元が「老けて見える」「疲れて見える」原因の一つに目の下のたるみや、目の下のふくらみがあります。
目元にできるたるみやクマは疲れが原因と考えられがちですが、実は原因はそう単純なものではなく、場合によってはしっかりと改善するために治療が必要不可欠になる事も。
目の下のたるみをきちんと改善させるために取り入れるべきセルフケアや、根本から改善するための治療法など詳しく解説いたします。
目の下のたるみは疲れや老化だけが原因ではありません
目元のたるみやクマというとどうしても「寝不足によるもの」であったり、「年齢によるもの」と考えがちですが、実は原因はそれだけではありません。
そもそもたるみが発生する要因には「皮膚のたるみ」「筋肉の衰え」「脂肪や骨の減少」「眼窩脂肪の突出」という4つがあるのですが、これらは疲れや加齢だけではなく、肌のダメージや体質など色々な原因によって発生しているものです。
正しい対策を知るためにも、まずは何故目の下のたるみが生じるのかについて確認しましょう。
紫外線による肌老化
肌の細胞がダメージをうけて損傷していく「肌老化」は、実は単純な加齢による変化よりも紫外線による影響が非常に強いも言われています。
紫外線が肌の内部に侵入してくると、肌に活性酸素が作られて細胞がダメージをうけていきますが、例えば肌の真皮層部分にあるコラーゲンを作り出す「線維芽細胞」などが損傷してしまうと、肌のハリを十分に保つためのコラーゲンなどが作られなくなり肌がハリを失って弛んでしまいます。
紫外線によるダメージを防ぐためには、適切な紫外線対策グッズを使用する事や肌の潤いケアを十分に行ってバリア機能を高める事が必要です。
目元の疲労による筋肉の衰え
もちろん目元の疲労もたるみを引き起こす原因の一つです。
目を使いすぎるなどで眼精疲労の状態になると、目の周囲の血流が悪化するため筋肉や肌の細胞の代謝が低下します。
目の下の肌は眼輪筋という筋肉によって支えられているため、筋肉が衰えればたるみが進行します。
疲労が出ても定期的にケアを行って血流の低下を予防していればたるみの進行は予防できますが、放置を続けてしまうと徐々に組織の衰えが進行していくため、自力で取り戻す事が難しくなっていきます。
眼窩脂肪が多いと目元の膨らみが出やすい
人の目は頭蓋骨にある「眼窩」という骨の窪みの中に存在しています。
眼窩には眼球が浮いているわけではなく、眼球の周りが「眼窩脂肪」という脂肪のクッションによって覆われていて、眼窩脂肪が眼球を支えています。
眼窩脂肪は眼球の重さによって押し広げられる方向に力が加わっていますが、横方向や後ろ方向には骨があるため広がる事ができず、唯一空いている前方に押し出される形で力がかかっています。
そして、この前の方に眼窩脂肪が出てこようとする力をダムのように抑えているのが、下まぶたの眼輪筋です。
年とともに生じる目元のたるみや膨らみとして、目元がプックリと膨れてしまう「目袋」といった状態があありますが、これは眼輪筋が衰える事で眼窩脂肪を支える力が弱まり、眼窩脂肪が前方に突き出してくる事で生じるものです。
目元の膨らみというと「涙袋」を思い浮かべる方もいらっしゃると思いますが、涙袋は眼輪筋が発達する事で下まぶたのまつげの付け根から数ミリ程度膨らみが出るもので、目袋はそれよりもやや下側に、涙袋よりも大き目の膨らみができるイメージとなります。
目袋が出来てしまうと、目の下の膨らみが目立つだけではなく下まぶたと目袋の間や、目袋の下側が強いタルミとして目立ちやすいためかなり老けた印象となってしまいます。
眼窩脂肪による目元の膨らみは、やはり眼窩脂肪の量が元々多い方の方が生じやすくなっていて、体質によっても差があります。
脂肪や骨が痩せてしまう事でもたるみが気になる可能性がある
人の体は20歳をすぎると徐々に細胞の代謝が低下していき、筋肉や皮膚が衰えてしまいますが、痩せていってしまうのは筋肉だけではありません。
脂肪や骨も代謝が低下していく事で新しい細胞が十分に作られなくなっていくため、徐々に痩せていく形となります。
顔の中では特に頬部分の脂肪や骨が痩せてしまう事での変化などが目立ちやすく、若い頃は頬が張っていて目元が健康的な状態でも、頬が痩せると目元が全体的にたるんで落ちくぼんだような印象になってしまいます。
目の下のたるみを改善するための4つの方法
目の下のたるみを改善するための方法としては「マッサージ」「トレーニング」「スキンケア」そして「美容治療」の4つです。
それぞれ具体的な方法を解説します。
マッサージによる血行促進
マッサージによって目元の血流を促す事は、目の下のたるみを徐々に改善していくための有効な方法の一つです。
目の周囲のマッサージ
眼球の周囲にある骨に沿って、目頭側から目尻側に向けて指先で優しく押すようにマッサージを行うと、目の周囲の血流が促進され疲労の改善や代謝の向上に繋がります。
目の上側と下側をそれぞれ5~10秒ほどかけてゆっくりほぐしていきましょう。
マッサージの際は強く押しすぎてしまうとむしろダメージになってしまうので、気持ちが良いと感じる程度の優しい力加減で行う事が大切です。
また、押しながら横に指を滑らせるような形で行うと摩擦刺激で肌への負担がかかってしまうので、軽く押して指を離すというのを繰り返しながらマッサージを行ったり、アイクリームなどを利用して摩擦の負担をかけないように行いましょう。
目元のリンパを流す事にも繋がるため、特に顔のむくみが気になる朝に取り入れる事などによって腫れぼったい目元の改善や、むくみによる目の下のたるみ、膨らみを改善する事もできます。
頭皮のマッサージ
眼精疲労は頭部のコリにも繋がりやすく、これが顔全体の血行不良に影響している場合もあります。
特に首の上あたり、耳の裏辺りの頭皮が眼精疲労によってこりやすいので、親指を押し当ててゆっくりと揉み解すようなマッサージを行うとよいでしょう。
この時もやはり力を入れすぎるとかえってダメージになってしまうため、気持ちいい程度の力加減で行う事が大切です。
トレーニングで眼輪筋を鍛える
眼輪筋は目を閉じる際に動かす筋肉であり、意図的に力を入れる事ができる筋肉のためトレーニングで鍛えられます。
一番簡単なトレーニング法としては、なるべく下まぶたを持ち上げるようなイメージでギュッと目をつぶり、そのまま5秒程度キープしてから力を緩める(目を開く)といった方法などがあります。
ただし、目を全体的に力を入れて閉じてしまうとバニーラインや眉間のシワが気になるようになってしまう可能性もありますので、おでこや上まぶたの方には力を入れず、遠くを見る際に目をすぼめるようなイメージで下まぶただけを持ち上げるような力の入れ方が出来ると、効果的にトレーニングしやすくなるでしょう。
スキンケアで肌のたるみをケアする
適切なスキンケアによってハリのある肌を維持する事も、目の下のたるみを改善するためのポイントです。
目元専用の美容液やクリームには肌のハリをケアするための化粧品成分が豊富に含まれたものなども多くありますので、肌に合うものを見つけてみましょう。
目元のケアとしては下記のような成分が入った商品などがおすすめです。
ヒトセラミドなど保湿能力の高い成分
紫外線や外気などから肌を守るためのバリア機能は、肌が十分に潤いを保つ事で正常に働きます。
肌が潤いを維持するために必要不可欠な成分がセラミドで、脂質と水分の両方をしっかり抱え込む高い保湿効果をもっています。
セラミドは肌自身が自然に合成している成分でもありますが、洗顔などによって流出してしまう保湿因子の一つですので美容液などで取り入れるとよいでしょう。
ナイアシンアミドやレチノール
肌のハリをケアする成分として医薬部外品認定を受ける製品などによく使用されているものがナイアシンアミドやレチノールです。
これらの成分は肌の代謝を高める事で肌のハリを改善し、目元のたるみを改善させるために有効に働きます。
ただし、肌への刺激が強い場合もありますので使用する際にはパッチテストなどを適切に行ってからにしましょう。
成長因子などのペプチド成分
タンパク質が細かく分解されて出来た、アミノ酸が複数結合して出来た成分をペプチドと呼びますが、ペプチド成分の中には細胞の代謝を直接促進するようなものも存在しています。
その一つがFGF(線維芽細胞成長因子)などの成長因子で、FGFはコラーゲンを作り出す線維芽細胞の働きを促進させて、肌のハリを保つためのコラーゲンを真皮内に増加させるといった働きを持つものです。
肌にはセラミドなどによる堅牢なバリア機能があるため、直接こうした成分が皮下に強い影響を与える事は難しいと考えられますが、例えばイオン導入などと組み合わせる事で一定の効果が期待できます。
美容治療による根本的な改善
目の下のたるみを改善させるための治療法は様々ですが、その中の代表的な治療法は下記の通りです。
HIFU(ハイフ)治療
HIFU(高密度焦点式超音波)という技術を用いた治療で、肌の表面にはダメージを与えず、狙った深さの部分にのみ熱エネルギーでの刺激を与える事ができるものです。
HIFUによって真皮内の線維芽細胞や、表情筋の筋膜であるSMAS層に刺激を与えて活性化させる事で、加齢などによって低下してしまった細胞の代謝を促してたるみの原因である「肌のハリの減少」や「筋肉のゆるみ」を改善する事ができます。
経結膜脱脂術
まぶたの裏を小さく切開し、そこから眼窩脂肪を引き出して除去する手術です。
目の下の膨らみを引き起こす原因である眼窩脂肪を直接除去する事で、簡単に目元の膨らみやたるみを改善する事ができます。
ただし、そもそも脂肪は加齢とともに減少していくものであるため、しっかりと適応を見定めてから治療を行わないと将来的に目元の脂肪が足りず落ちくぼんだような目の状態になってしまう可能性もありますので、治療が適しているかどうか医師とよく相談して決めるようにしましょう。
ヒアルロン酸、脂肪注入
脂肪の減少などによって頬がこけてしまい、これが目の下のたるみの要因となっている場合はヒアルロン酸や脂肪の注入で改善する事ができます。
ヒアルロン酸の場合は注射だけのため治療が手軽にうけやすいメリットがありますが、一方で効果が半年から1年程度の持続となるため、永続的な改善を求める場合は脂肪注入がおすすめです。
脂肪注入はお腹などから採取した脂肪を生成して注入する方法で、脂肪細胞が定着すれば長期的な効果が期待できます。
ハムラ法
眼窩脂肪を除去するのではなく、場所を移動させて目の下の脂肪の突出と、頬の痩せてしまった部分を同時に解消する治療法です。
加齢によって目立ってしまった膨らみを改善しつつ、頬にボリュームを出す事で高い若返り効果を得る事ができます。
また。切開を行う位置がまぶたの裏側で行う「裏ハムラ法」と、まぶたの表側で行う通常の方法がありますが、表から切開した場合はたるみのある余分な皮膚も切除して縫い縮める事で、効果的に目の下のたるみを解消する事ができます。
目の下のたるみを改善する治療は医師の経験や技術力が大きく左右します
目の下のたるみについては、手軽で効果を実感しやすいからと安易に経結膜脱脂術を行うような医師やクリニックが存在しているなど、将来的なリスクが残る治療が横行している側面もあるようです。
こうした治療では治療後の一瞬だけよくても、その後に目がくぼんでしまったり、奥目になってしまったりといったトラブルに繋がるケースがあり、更にいえば加齢によって脂肪が減少していけば、将来的により理想とかけ離れたような状態に陥ってしまう可能性もあります。
そうならない為に大切なのが、しっかりと様々な治療法に対しての知識や経験を持ち合わせた医師の治療を受ける事です。
経結膜脱脂と比べてハムラ法などは医師の高い技術力が要求されますが、こうした治療も含めてしっかりと対応している医師に治療の相談を行い、本当に適応のある治療を受ける事が、長期的に満足度が高く、後悔しない治療を受けるためのポイントといえるのではないでしょうか。
城本クリニックでは、治療経験の豊富な医師がじっくりと診断、そしてカウンセリングを行い、お悩みの解消に最適な治療法のご提案を行っております。
目元は人それぞれに悩みの原因が異なり、最適な治療法も千差万別です。
まずは一度お気軽にご相談ください。
本コラムの監修医師
1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック
医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹