コラム

COLUMN医療用ハイフとエステサロンでの施術はどんな違いがあるの? 効果や持続期間など詳しく解説

ハイフ(HIFU)を利用してのアンチエイジングを目的としたケアは、年々ご存じの方も増えて人気が高まっている印象ですが、よくお寄せいただく質問の一つが「エステサロンのハイフと何が違うのですか?」というものです。
実際に医療機関で行われるハイフ治療と、エステサロンでのハイフ施術の間でどのような違いがあるのか、詳しく解説いたします。

ハイフ(HIFU)の仕組みについて

まず、そもそもハイフがどのような仕組みの治療かを解説します。
ハイフ(HIFU)は「High Intensity Focused Ultrasound」という言葉の頭文字をとったもの。
「HIFU」をそのままローマ字で読むと「ヒフ」になるため、意味をかけ合わせて作った言葉のように感じますがアメリカで開発されたもので、歴史を遡れば1950年代から研究が重ねられて今日に至る、歴史のある治療法です。
元々は美容治療ではなくガンの治療や前立腺の治療等をメスを使わずに行うなどの目的で開発されてきた経緯があり、安全性や効果を美容治療に利用したものが、現在の美容分野でのハイフ治療となっています。

英語表記を日本語に直訳すると「高密度焦点超音波」。
超音波は「高い音」というイメージが強いと思いますが、音というのは空気が振動する事で作り出される現象。超音波はその中でも振動の幅が小さく回数が多いという特徴があります。
そんな振動である超音波を特定の箇所に集中させる事で、狙った箇所を激しく振動させて熱を作り出すというものがハイフ治療の原理。
熱を作り出す場所が真皮層であれば、熱刺激によって活性化された線維芽細胞がコラーゲンやエラスチンといった肌の弾力を作る成分を多く作り出すようになって肌のハリがアップしますし、脂肪層であれば余分な皮下脂肪を熱で破壊して排出を促すという事が可能になります。

ハイフの効果=熱による細胞ダメージの回復

ハイフに出来る事は、あくまでも特定の箇所に熱のダメージを与えるという事だけで、実は治療によって得られる様々なスキンケア効果やリフトアップ効果は、人体の回復力によるものです。

例えば転んでケガをすると、そのケガの周囲は細胞の働きが活性化されてなるべく早く体の損傷が治るように変化するのですが、それと同じようにハイフで特定の部分に熱刺激を与えて損傷をさせると、その周囲の細胞は体を元の健康な状態に戻そうと活発に働くようになります。
つまり、ハイフ治療によって得られる効果というのは、意図的に細胞を傷つけて、体の回復力を強制的に引き出すという事。よく、ハイフは皮膚の下の狙った箇所に軽度の火傷状態を作る治療とも説明されます。

原理は簡単なので真似した機械は作りやすい

超音波を狙った箇所に集中させるという方法で作り出される効果は、原理としては非常に簡単で分かりやすいため、同様の効果を発揮する機械を作る事はそこまで難しくはないでしょう。
ただし注意が必要なのは、原理としては同じであっても本当に狙った箇所にエネルギーを安定的に集約させられるかや、一定して安全な出力を照射できるかといったような点は決して容易ではなく、ハイフの治療機器を開発している各社が研究開発を繰り返し、そして十分な管理体制のもとで製造を行う事で実現されるものという事です。
「ハイフ(HIFU)」という同じ原理を用いた治療法の機器でも、その安全性や効果の度合にはそれぞれ大きな違いがありますので、こうした点も含めて医療用のハイフとエステサロンでのハイフの違いを考える必要があります。

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医療ハイフとエステサロンのハイフの違い

美容クリニックなどで行われているハイフ治療と、エステサロンでのハイフ施術の違いとして、主に挙げられるのは下記のものです。

効果の程度

前述の通り、ハイフによる引き締め効果やリフトアップ効果は「肌に軽度の火傷を作る」事で得られるものです。
この熱ダメージが弱すぎれば肌がただ温まって血行が良くなっただけになりますし、逆に強すぎれば水膨れや神経損傷がでおこるような火傷状態となって、綺麗になるどころかマイナスの結果に繋がるという事になります。

効果を出すためには細胞の回復力が高まって、かつ副作用としての状態にならないギリギリの状態に照射する必要があるのですが、このギリギリを見極めるのはやはり医療知識をもって正しく人体を理解している医師だからこそ可能であり、医師の指導や管理の元で行われる治療でなければ困難といえるのではないでしょうか。
結果として、医療機関で行われる治療では十分に効果が得られる治療となるのに対し、エステサロンでは「照射が弱すぎて効果が出ない」または「強すぎて火傷トラブルになる」という状態が多発するという事になりやすいといえます。

また、そもそも「肌に軽度の火傷状態を作る」という行為は医療行為に該当しますので、医療機関でしか行う事はできません。
そのため、エステサロンで施術を行うとしたら本来は「肌を温める」程度の効果しか行えなず、多くの方がハイフに求めているような効果は出してはいけないという事になります。
現実としては、非合法に強い出力で照射を行っているエステサロンもあるかと思いますが、法律をも守らないような状態で施術をしていると考えれば、その危険性は推測できるのではないでしょうか。

安全性の高さ

ハイフは医療機関で行っていても、場合によって肌のダメージが強くでてしまったり、神経損傷などの症状が出る事はあるものです。
そもそも医師の管理下で適切に行われている事でこうしたリスクが少なくなりますし、万が一こうしたトラブルが発生したとしても、副作用に対する適切な処置や治療を行う事ができますので、大きなトラブルとして残り続けるような事はあまり考えられません。

一方でエステサロンでの施術については、やはり人体についての理解度が医師と比べて低くなりますのでそもそもトラブルが発生する可能性が高まりますし、何か問題が発生した際にも適切な治療が行えないため、症状がどんどん悪化していってしまうという危険性もあります。

また、施術に用いられるマシンについても考慮が必要です。
医療機関で使用されるハイフのマシンは、日本の厚生労働省にあたる米国のFDAや韓国のMFDSなどの認可を得た治療機器であったり、医療機器を専門に開発しているメーカーが作っている安全性の高いものです。
一方でエステサロンで用いられるマシンは様々なメーカーが医療用ハイフを真似て作っているものである事が多く、効果や安全性の検証が十分に行われている証明が無いものがほとんどだといえます。

以上の理由から、安全性という点では特に医療機関でのハイフ治療とエステサロンでのハイフ施術に大きな差があり、場合によっては跡が残り続けるような火傷などの危険性もありますので、医療機関での治療をうける事を推奨いたします。

効果の持続期間

効果の程度について差が出やすいとご紹介しましたが、それは持続期間についても同様です。
そもそもエステサロンの施術は、肌の細胞を損傷させて回復力を高めるというレベルで行えないため、本来得られる効果は一時的に肌を温める事で代謝がアップするという程度に限定されます。
この効果のレベルは例えば体をもみほぐすなどの方法と同程度の意味合いとなりますので、効果の持続期間は非常に短いものであると言えるでしょう。

医療機関でのハイフ治療の場合は、効果のピークが1~3か月目で、その後徐々に効果が薄れて半年から1年程度で元の状態に戻る流れとなります。

価格の違い

医療用ハイフの治療は、使用する機器などによっても値段に差はありますが大体1回あたり3~7万円程度かかります。
一方でエステサロンの施術は、1回あたり1万円以下という店舗も多くみかけられ、金額でいえば確かにエステサロンの施術の方が大幅に取り入れやすいといえます。
この金額の差は施術者が医師や看護師といった有資格者であるという点や、治療効果が認められている医療用の機器を使用するという点などから生じるものですので、最終的には効果の度合や安全性という点をどう捉えるかで判断が分かれるところでしょう。
ただ、やはり医療用ハイフとエステサロンでのハイフでは効果の出方や持続期間が異なりますので、単発での金額ではなく、求める結果を手に入れるために合計でどの程度のコストがかかるのかを加味して判断していただければと考えています。

広告文言での違い

もう一つ、医療機関とエステサロンで大きな違いとなるものが「広告文言」です。
実は、医療機関は厚生労働省から発表されている「医療広告ガイドライン」というものに従って広告を行う必要があり、これはホームページ上での表記などについても同様です。
医療広告ガイドラインでは、例えば「症例写真で過度に治療結果を良く見せてはいけない」というものや「特定の治療を広告として紹介する際は治療の詳細や副作用を載せる必要がある」など、様々な制限があります。
これは医療行為を過度に推奨しないようにするという目的のためであり、過剰な割引表記などを行う事で集客をする事なども禁止されています。

一方でエステサロンはこうした制限がありませんので、大幅な割引などの表記が可能となるため、施術を過度に煽るような広告も多くみかけます。

ただし、だからといってエステサロンはどんな内容でも広告として表現してよいのかというとそうではなく、一つは医師法や薬機法に抵触するような内容、つまり「身体に対して医療レベルの変化が起こる」というような事を表現してはいけません。
とはいえ、エステサロンは開業するための資格なども不要であり店舗が乱立している状況ですので、こうした規制を適切に守れていない事も多く、その結果が「医療機関とエステサロンのハイフの違いが分からない」という状態に繋がっているのではないでしょうか。

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エステティックの関連団体からもハイフ施術は禁止がされている

実は、エステサロンでのハイフ施術については、そもそもエステティックの関連団体からも取り扱わないように呼びかけが行われているという経緯があります。
これは2017年頃にあった国民生活センターの「医療行為に該当するようなハイフ施術をエステティシャンが行う事は禁止」という趣旨の発表を受けて行われたもので、2019年頃からハイフ機器の使用禁止が呼びかけられているようです。

エステサロンでのハイフ施術についてはこうしたトラブルの報告だけではなくハイフ機器をエステサロンに販売したメーカーの社長が2015年には逮捕されているなど、問題となっているケースもかなり多い状況であり、顧客の安全性にしっかり配慮をしている優良なエステサロンほど、導入をしないという判断をしている状況だといえます。

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ハイフは手軽である一方、安全性への管理が重要な治療です

ハイフ治療は短時間で行えて、かつダウンタイムも無いのにしっかりとリフトアップ効果が得られるという事で人気の治療法ですが、治療の原理としては肌の内側に軽度の火傷を作るといった、ある意味でリスクと隣り合わせの治療法です。
治療を行う際は人体を正しく理解し、安全な治療を行える医師の下である事が絶対に必要となりますので、見せかけの値段などにつられず、しっかりとリスクまで把握して安全に治療を受けられるクリニックをご検討ください。

城本クリニックでは患者様のお悩みに対して医療知識をしっかりともった医師がカウンセリングを行い、最適な治療法をご提案しております。
ご自身のお悩みに最適な治療法を知りたいというだけでも大丈夫ですので、是非一度お気軽にご相談ください。

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本コラムの監修医師

1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック

医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹

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