コラム
COLUMN糸リフトのダウンタイムや経過について。失敗例や術後の過ごし方の注意点を解説
加齢とともに気になってくる肌の悩みといえば、やはりシワやタルミという方が多いのではないでしょうか。
肌のハリが減少するとともに表れるエイジングサインはどれだけケアを頑張ってもなかなか解消する事は難しく、諦めてしまう方もいるかもしれません。
そんなシワや肌のタルミといった肌のお悩みを、短時間の治療ですぐに解決する方法の一つが糸リフトです。
医療用の糸を注射器状の器具で挿入するだけなので、手術時間がとても短く、それでいて治療直後からハッキリと効果を実感できるとして非常に人気のアンチエイジング治療です。
ただ、やはりメリットが多いとはいえ外科的な手技を行う治療ですから、ある程度のダウンタイムや治療の注意点などがあるのも事実。こうしたリスクが心配という方もやはり沢山いらっしゃいます。
今回はそんな糸リフトによるリフトアップ術のダウンタイムや注意点、そして「失敗」してしまうパターンや副作用のリスクなどについて、詳しく解説いたします。
目次
糸リフトとは?
糸リフトとは、美容クリニックで行われるフェイスリフト術の一つで、主に医療用の糸を使って引き上げ効果を作り出すものを指します。
引き上げを行う糸として以前は金の糸などが使用されていましたが、糸が残り続ける事によるトラブルの可能性や他の治療が行いにくくなってしまう事などの問題から、最近はほとんどのクリニックで「一定期間が経過すると溶けて体内に吸収される糸」を用いて施術が行われています。
糸の種類によって効果の度合いや持続期間が異なる
糸リフトに用いられる糸は現在様々なメーカーから多種多様なものが開発されており、糸の種類によってその効果や持続期間が異なります。
例えば、多くの糸が皮膚の内側に引っかかりやすいように小さいトゲのようなものや、コグとよばれる出っ張り部分を持っていますが、この形状の作り方によって引きあがりの強さや糸の切れやすさなどに違いが生じます。
糸の種類は改良を重ねられる事で増えていますので、基本的には新しく開発されたものの方がより効果や持続性に優れたものが多く、ひと昔前の施術と比べると糸リフトの効果は各段に上がっていると言えるでしょう。
糸リフトの効果・メリット
- 切開を伴うフェイスリフト手術と比べ非常に手軽
- 10分~20分の短時間で施術が完了する
- ダウンタイム短く、生活に大きな支障がない
- たるみやしわを物理的に改善して若返り効果が得られる
- フェイスラインのもたつきを解消して小顔の効果
- 糸で直接引き上げるため直後でも効果を実感
- 糸の挿入後、糸の周囲でコラーゲンなどの生成が促進される事で美肌効果がある
副作用リスク・デメリット
- 効果が一定期間(1~2年)で無くなる
- 麻酔注射の際に多少の痛みがある
- チクチクとする痛みなどダウンタイムの症状が出る場合がある
- 施術医師の技術力によって仕上がりに差が出る
- 挿入の仕方によっては肌にデコボコや強いひきつれ感が出る事もある
糸リフトの効果は2段階で表れる
糸リフト治療によるリフトアップ効果は、大きく2段階に分かれて表れます。
物理的に引き上げを行い、直後からリフトアップする効果
最初に表れる効果はとても分かりやすいもので、挿入した糸によって直接皮膚を引っ張り上げる事で得られるリフトアップ効果です。
糸リフトはこめかみ周辺などから口元、顎の方向に糸を挿入して引っ張り上げるという施術が多く行われますが、こうする事で加齢によって垂れ下がった皮膚を引き上げてシワやタルミといったエイジングサインを解消する事ができます。
仕上がりのイメージとしてはよく、顔を上(天井)に向けた場合の状態に近づくと言われます。
コラーゲンやエラスチンが作られるのを促す事による引き締め効果
挿入された糸は、十分に安全性が確認されたものであるとはいっても体にとっては「異物」です。
この異物を皮膚の内部に挿入すると、皮膚の細胞は刺激を受けて活性化されて代謝を促進させます。これにより、糸の周囲にはコラーゲンやエラスチンといった肌のハリや弾力を保つための成分が豊富に作られます。
コラーゲンやエラスチンといった成分は加齢によって体内で作られる分量が徐々に減少し、それがシワやタルミといったエイジングサインを引き起こす原因の一つ。糸リフトによってこうした美容成分が豊富に作られる事で、高い引き締め効果が得られてハリのある若々しい肌を目指せます。
この2段階目の効果は糸の挿入から1週間程度が経過した頃から実感として表れ始めるもので、徐々に変化が表れるので気が付きにくく、後から「気が付いたら肌にハリが出ていた」と実感できるものとなります。
ショッピングスレッドのように糸で直接引き上げる効果ではなく、この引き締め効果を最大限に活用する目的の糸リフトもあります。
ダウンタイムの経過について
施術後のダウンタイムが短く、症状としても軽い事がメリットでもある糸リフト。
肌質や治療内容などによって個別の差はありますが、多くの場合は下記のようなダウンタイム経過となります。
治療直後~当日
糸リフトの治療直後は、ほとんどの場合で腫れが出て喋りにくいような状態となります。
これは主に治療に使用する麻酔の影響で、糸を挿入する際に麻酔液も同時に注入される事から、その水分量などによってむくんだような腫れが生じます。
そのため、麻酔の量が多ければ当日の腫れは強くなり、麻酔の効きやすさなどによって変わってくるといえます。
また、麻酔によって周囲の表情が動かしにくくなりますので、表情を作ったり喋ったりしにくいと感じるでしょう。
また、治療直後は糸を挿入した箇所から雑菌が入らないように保護テープなどを貼る事になるのと、糸を挿入する箇所の周囲は毛を巻き込んでしまう事で感染症になるリスクを減らすために髪の毛を剃ってから施術が行われるため、手術の当日は周囲からみてやや分かりやすい可能性があります。
手術自体にかかる時間は非常に短い治療ですが、手術当日は入浴や治療部位へのシャワー、メイクなどは行えないという事もあり、なるべく安静に過ごせるスケジュールで施術を受けるようにしましょう。
また、大きく表情を動かしたり強くぶつけたりしてしまうと挿入した糸にズレなどが生じてしまう可能性もありますので、無理に顔を動かしたりしないようにしましょう。
翌日~1週間
手術の翌日には麻酔液による腫れも落ち着き、シャワーやメイクも可能となりますので概ね普段通りに過ごしていただく事ができる状態となります。
施術の際に毛細血管が傷つく事などによって内出血を引き起こしてしまう事もありますが、ほとんどの場合は3日間程度あれば解消します。
同様に、注射の跡も数日で目立たなくなります。
麻酔の影響がなくなる事で表情を動かしやすくはなりますが、ある程度の強度を持った糸が挿入された状態になりますので、慣れるまでは少し表情を動かしにくいと感じるかもしれません。
また、表情と同時に糸が動く際に違和感がでたり、皮膚を表面から抑えると挿入した糸による刺激でチクチクとした痛みを感じる場合があります。
麻酔液による大きな腫れはなくなりますが、治療によってダメージを受けた肌が回復中の間は多少のむくみや腫れ、赤みといった症状が継続する事もあります。ほとんどはメイクでカバーできる程度のものなので、強く心配する必要はないでしょう。
適切にケアされていれば感染症などが引き起こされる可能性は低いですが、傷口から雑菌などが入ってしまった場合は腫れや炎症が出てくる事もありますので、医師から受けた説明と違うと感じるような症状が出た場合は早めに連絡して対応をしてもらうようにしましょう。
1週間~2週間
術後1週間程度が経過すると術後の腫れやむくみも落ち着き、リフトアップ効果を実感しやすくなります。
術後に違和感や痛みを感じていた方も、この頃にはほとんど気にならなくなっているでしょう。
飲酒や運動、サウナといった行動制限も不要となり、ダウンタイムが終わりと言える状態になります。
また、挿入した糸の周囲にコラーゲン組織が増えてくるため、リフトアップ効果と引き締め効果が強くなっていくのを感じれるようになります。
2週間程度が経過する頃には注射箇所にできたカサブタもこの頃には自然とはがれていき、傷跡も気にならなくなっていきます。
内出血や赤みなどが強くでてしまうなど術後の副作用が強いケースでも、2週間が経過する頃には症状が落ち着きます。
術後1カ月程~
糸の周囲にコラーゲン組織が十分に作られてくる事で、リフトアップしたと一番実感しはじめるのが術後1カ月程を経過した頃です。
そのため、もし何か大切なイベントなどにあわせて治療を受けたい場合は、その日から1カ月は前に治療を受けるようにすると良いでしょう。
糸リフトで起こりやすい失敗
安全性が高い糸リフト治療ですが、場合によっては「失敗」と感じるようなトラブルになるケースもあります。
リフトアップ効果を感じない
皮膚に糸のトゲやコグ部分をひっかけて引き上げるようなイメージで治療を行う糸リフトですが、糸を挿入する層が不適切な場合などで、リフトアップ効果をほとんど実感できないというケースがあります。
糸リフトは施術時間が短く簡単な施術と考えられがちですが、直接挿入されている糸を目視しながら施術を行う事が出来ず、指先の感覚を頼りに施術を行う必要があるため、医師の経験や技術力がとても重要になります。
十分なリフトアップ効果を実感するためには、症例などを確認して実績の豊富な医師の治療を受けると良いでしょう。
ひきつれ感が出てしまう
効果を感じないのと逆で、強く引き上げられすぎてひきつれ感が出てしまうケースがあります。
これは、皮膚に対する糸の引っかかりが強すぎるケースなどで生じるトラブルで、やはり医師の技術に左右される部分です。
尚、ひきつれ感についてはほとんどが多少の時間を置く事で解消します。また、治療直後はひきつれ感がでやすいので、あまり心配する必要はありません。
なるべく強くリフトアップ効果を出すために、あえてひきつれ感が強い施術を行う場合などもあります。事前のカウンセリングでどのような引き上げ方をしたいのか、そしてその場合にどのくらいのひきつれ感が出るのかなどを詳しく相談しておくようにしましょう。
皮膚がよれてしまう
糸による引き上げが不十分な箇所と、引き上げすぎな箇所が混ざってしまうと、皮膚がよれてデコボコな状態になってしまう事があります。
このリスクを避けるためにもやはり医師選びが大切です。
糸が見えてしまう
糸の種類と挿入箇所などによっては、皮膚表面から糸のデコボコが見えてしまうようなケースがありえます。
これも適切な治療が行える医師であればほとんど発生しないトラブルですので、施術に使う糸による治療経験をしっかりともった医師の施術をうけるようにしましょう。
化膿して腫れてしまう
糸に雑菌がついていたり、髪の毛を巻き込んでしまったりといった状態で施術が行われると、術後に雑菌が繁殖して化膿してしまうケースがあります。
適切な手術を行っているクリニックであればまず心配する必要はありませんが、清潔さが不十分なクリニックや、一人ひとりの施術にかける時間が極端に短いようなクリニックの場合ではリスクが強くなるため、安心できるクリニックで治療を受けるようにしましょう。
感染症となってしまった場合は糸の除去や抗生物質などによる治療が必要となります。
仕上がりが想像と違った
糸リフトは皮膚を引き上げるだけの治療と思われがちですが、どのような形で引き上げるかというデザインによっても仕上がりの顔つきというのは大きく変わります。
例えば、顔の全面を引き上げて若返りをしたいと考えていたのに、フェイスラインの引き上げが中心の小顔効果が強くなってしまうといった齟齬があれば、想像していた仕上がりと異なる結果となって失敗と感じてしまうでしょう。
理想とする仕上がりを達成するためには、手術を担当する医師とじっくり相談を行ってそのイメージを共有する事が非常に大切ですので、充分に医師とのカウンセリング機会があり、安心して治療を任せられると感じるようなクリニックで施術をうけるようにしましょう。
まずはお気軽にご相談ください
城本クリニックでは、糸リフトの指導医として活躍する医師をはじめとして糸リフトの経験が豊富な医師が揃っており、またカウンセリングから充分な時間をとって担当の医師と治療を決めていく事ができますので安心して糸リフトを受けていただけます。
糸の種類も複数のものをとりそろえ、お悩みに合せた最適な治療をご提案しておりますので、まずは自身の目的に最適な治療法を知りたいという方も、お気軽にご相談ください。
本コラムの監修医師
1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック
医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹