コラム
COLUMNほうれい線の整形で失敗する事はある?後悔しないためのポイントを解説
しわやタルミといった加齢による肌悩みの中でも治療を希望される方が多い「ほうれい線」。
ほうれい線は顔の中心に出来る事や、くっきりと見えやすい事などから年齢を強く感じさせるエイジングサインでもあり、お悩みの方が多い部位です。
ほうれい線は美容整形による治療が可能ですが、整形においては成功だけではなくやはり失敗するリスクなども気になる方は多いのではないでしょうか。
失敗リスクやその回避法を知っておく事で、安心して治療を受ける事ができますので是非参考にしてみてください。
ほうれい線とは?
ほうれい線は一般的に鼻の下から口角に向かってハの字にのびる線を指します。
鼻と唇の間にある溝なので「鼻唇溝」とも呼びます。
ほうれい線が目立つと顔の中心に影がかかる状態となり、老けた印象を与えやすいことから治療を行いたいというご要望が多いです。
ほうれい線ができる原因とは?
ほうれい線ができる原因としては主に以下のような要素が考えられます。
肌のタルミ
加齢に伴う皮膚のたるみや弾力の低下はほうれい線の主な原因です。
ヒトの肌は真皮層内がコラーゲンやエラスチンで満たされる事によってピンと張った状態を保っていますが、コラーゲンなどの弾力成分は日々細胞の代謝によって新しいものが作られる事でその量を保っています。
年齢を重ねると代謝が低下する事で、コラーゲンやエラスチンといった成分が減少するため、これにより肌の弾力が失われて重力によって垂れ下がった状態になってしまいます。
肌のタルミは加齢だけが原因ではなく、過度な紫外線や摩擦刺激によって肌にダメージが蓄積される事でも生じるため、普段からの適切なケアが大切です。
脂肪による頬の膨らみ
頬に脂肪が多いなどの場合、ほうれい線の上部が大きく膨らんでくる事によってほうれい線が目立つようになります。
肌にハリがあるうちは目立ちにくいですが、脂肪が多く肌のハリも減少していった場合にはよりタルミが生じやすくなるため、ほうれい線がくっきりと見えやすくなります。
表情筋のコリなど
顔の筋肉の使い方や表情の癖もほうれい線に影響します。
例えば、習慣的に口元をきゅっと結ぶような表情が続くなど表情筋に負担がかかり続けると、筋肉が硬くなり柔軟に動きにくくなるため、ほうれい線が深く目立つ事があります。
また、加齢などによって表情筋が弱る事でも皮膚などの組織を支える力が低下し、タルミが引き起こされてほうれい線が目立つようになる事があります。
骨格が影響するケースも
ほうれい線は小鼻の横当たりから伸びる線ですが、小鼻の横当たりの頬骨が薄く窪んでいる場合、ほうれい線の開始点が影になるためほうれい線が深く見えやすくなります。
ほうれい線が目立つのは加齢だけではなく生まれついての骨格などにも影響されるため、解消するためには原因をしっかりと把握して適切な対応をする事が重要です。
ほうれい線とマリオネットラインの違い
ほうれい線と混同されやすいものにマリオネットラインがありますが、全くの別物です。
ほうれい線は、鼻の両側から口角にかけて現れるシワで、加齢などによって徐々に深くなります。
一方、マリオネットラインは口角から下方向に伸びるシワで、顔のたるみや脂肪つき方により生じます。
同じ口元にできる深いシワのため混同されがちですが、ほうれい線は口から上の部分、マリオネットラインは口から下の部分という形になります。
ただし、人によってはほうれい線とマリオネットラインが繋がるような形になるケースもあります。
ほうれい線の治療方法
ほうれい線は、美容治療で解消する事が可能です。
ほうれい線の治療は基本的にたるみの改善を目的としたものとなり、主に以下の方法があります。
- ヒアルロン酸注入(ヒアルロン酸注射)
- 脂肪注入
- HIFU治療
- 糸リフト
- フェイスリフト手術
どの治療が適しているかはほうれい線の程度や治療に対する希望などによりますが、大きな変化よりも手軽さを求める場合は「ヒアルロン酸注入」や「HIFU治療」、それよりもしっかり効果が欲しいけれどダウンタイムは取れないという方は「糸リフト」。
自然な形で改善をして、効果をずっと持続させたい場合は「脂肪注入」。
タルミを根本から解消してハッキリと効果を出したいという方は「フェイスリフト手術」が適しているといえます。
それぞれの治療法をご紹介します。
ヒアルロン酸注入
ヒアルロン酸はヒトの体内でも合成されている成分で、皮膚の保湿やふっくら感を保つ役割などを果たしています。
このヒアルロン酸を適度な硬さのジェル状にして皮下に注射を行う事で、物理的に皮膚を内側から持ち上げるとう方法がヒアルロン酸注入です。
美容クリニックでは多くの治療に使用されていて、シワやたるみの改善を目的とした施術だけではなく鼻や唇のボリュームをアップさせるなどプチ整形として人気となっています。
施術方法は医師が適切な部位にヒアルロン酸を注射するだけの方法であるため、治療にかかる時間は5分程度と短く、ダウンタイムが無い事や治療効果をすぐ実感できる点がメリットです。
ただしヒアルロン酸は注射後徐々に体内に吸収されていくため、効果の持続期間は永続的ではなく、使用するヒアルロン酸の種類や個人差によっても違いがありますが、一般的には半年から1年ほどと言われています。
ヒアルロン酸は元々体内にも存在する成分のため、治療の安全性が高いとされていますが、リスクや副作用もございます。
例えば、注射部分の腫れや痛み、内出血の症状があり、場合によっては治療後1週間程度はこうした副作用が出てしまう事もあります。
また、稀なケースではありますがアレルギー反応が生じる可能性もあるため、異変を感じたらすぐに医師へ相談するようにしましょう。
脂肪注入
お腹などから脂肪を採取して、それを精製してからほうれい線部分に注入する「脂肪注入」でほうれい線を改善する事が可能です。
脂肪注入の利点は、ヒアルロン酸注射のように注入するだけで治療が可能でダウンタイムが少ない事に加え、注入した脂肪が「生着」すれば効果が永続的となる点です。
ただし、注入した細胞の100%が生着する事は困難で、一部は体内に吸収されたり、石灰華してその場にしこりのような形で残ってしまう可能性があるため、注射直後の状態が必ずずっと続くというものではありません。
また、注入する脂肪を採取するために他の部位で脂肪吸引が行われますが、脂肪吸引は体への負担が大きく生活上の制限などもあるため、吸引箇所のダウンタイムが大変になるリスクはあります。
HIFU治療
HIFU治療とは、高強度焦点式超音波という技術を利用した美容施術の一つで、皮膚のたるみやシワの改善が期待できます。
複数の超音波を照射し、その超音波による振動が集中する「焦点」に限定して高熱を発生させるという技術で、皮膚表面には熱を加えずに狙った深度にだけ熱刺激を与えられる事が特徴です。
HIFUによって皮膚の深部を熱で刺激する事で、コラーゲンなどの生成を促す他、顔の皮膚を支える表情筋の筋膜「SMAS」を熱によって収縮させたり、新しい筋膜の繊維が作り出されるように代謝を促進したりという効果が発揮され、タルミを改善します。
治療時間が短く、メスや針を使う事も無いため、痛みも少なくリスクも低いのがメリットです。
HIFU治療の効果は個人差がありますが、治療の直後はSMASの熱収縮によるリフトアップ効果が発揮され、治療後1~2週間が経過した頃から徐々に引き締め効果が発揮されていきます。
効果は数か月から1年程度で、十分な引き上げ効果を維持するためには定期的な施術が必要となります。
副作用はほとんどありませんが、場合によっては治療部位に腫れや痛みが生じることもあります。
施術後は適切なケアが必要となりますので、医師の指示に従って行ってください。
糸リフト
美容整形の中でも人気が高まっているたるみやシワの改善治療が糸リフトです。
糸リフトは、医療用の溶ける糸を皮膚の下に挿入し、直接皮膚を引き上げるような形でリフトアップを行う治療法です。
溶ける糸を使用するため、糸自体は半年から1年程度で体内に吸収されて無くなりますが、糸の刺激によってコラーゲン生成の促進が行われる事で糸がなくなっても一定期間は引き締めによるリフトアップ効果が持続します。
頬の皮膚を直接持ち上げてほうれい線の原因であるタルミを改善するため、効果的にほうれい線の悩みを改善する事ができます。
糸リフトは麻酔をしてから注射のような形で糸を挿入していくという手法で、比較的短時間で施術が完了し、腫れや出血のリスクも低いため手軽に受けやすい事が人気の理由のひとつです。
治療に用いられる糸は様々な種類があり、それぞれ引き上げ効果の強さや持続期間などが異なるため、肌質や目的にあった糸で施術を行う事が大切です。
フェイスリフト手術
フェイスリフト手術は、たるみやシワの改善としては最も効果的で、その分ダウンタイムも長い治療です。
具体的には、こめかみの周囲から耳の前あたりにかけての皮膚を切開し、顔のタルミを持ち上げるように引き上げてからその状態で縫いとめて固定します。
タルミを引き上げる事によって余分な皮膚が余るため、この部分は切除を行う事となります。
物理的に皮膚を引き上げるため、ほうれい線を含めタルミを解消する治療としては最も確実で、強いタルミが生じている場合でも対応する事ができます。
一方で皮膚の切開や切除、そして固定のための縫合を行っているため、施術にかかる時間やダウンタイムは他の治療と比べ長くなります。
施術時間がかかるためコストとしても高額になりやすい点や、抜糸が必要となるため治療後の一定期間は手術後がハッキリと分かってしまう点などもデメリットといえるでしょう。
ほうれい線の整形における失敗例
ほうれい線の整形は、医師の技術不足やカウンセリングでの情報共有不足、治療法の選択の間違いや使用する薬剤などの不適切さなど様々な要因によって起こりえるものです。
実際によくある失敗例としては、下記のようなものが挙げられます。
ヒアルロン酸注入の失敗:皮膚が凸凹になってしまう
ヒアルロン酸注入で多い失敗の一つが、皮膚が凸凹になってしまうというトラブルです。
その原因は、注射の深さや角度が適切でなかったり、使用するヒアルロン酸の量や種類に問題があったりします。
ヒアルロン酸注入は注射だけの簡単な治療と考えられがちですが、治療目的にあわせて均一に注入を行うためには医師の技術力が必要となるため、症例の多さや施注資格を保有しているかなどからしっかりと技術力のある医師を選ぶ事が大切です。
また、注入後に強く揉んでしまったりしてもヒアルロン酸の位置がズレて凹凸になる可能性はありますので、注入後の過ごし方などについてはしっかり医師の指示を守りましょう。
凸凹が出てしまった場合には、ヒアルロン酸溶解剤(ヒアルロニダーゼ)を使って解消する事も可能ですので、失敗と感じたら医師に相談しましょう。
ヒアルロン酸注入の失敗:ほうれい線が余計に目立つ
ヒアルロン酸注入では、注射の失敗により、ほうれい線が余計に目立ってしまう場合があります。
ほうれい線を解消したいのに目立ってしまうという本末転倒な状態ですが、これは主に適切な位置に注入が行われなかった場合に発生します。
ほうれい線を解消する場合、ほうれい線の部分に直接注入して溝を埋める方法や、頬に注入して頬を持ち上げる事でほうれい線を解消する方法など、施術を受ける方の状態にあわせて最適な部位を選択する必要があるのですが、医師の経験不足などによって間違えた場所に注入を行ってしまうと、かえって頬がたるんでしまったり、ほうれい線が強調されてしまうという事がありえます。
糸リフトの失敗:強いひきつれを起こす
糸リフトでは、糸の挿入方法などによっては強いひきつれが起こる場合があります。
これはリフトアップの効果を強く出しすぎた場合の失敗例で、常に顔が横に引っ張られているような違和感を覚えたり、表情が作りにくくなったりといったトラブルとなります。
「できる限り強くリフトアップさせたい」というような要望などに応じて意図的にひきつれ感を出すような治療が行われる場合もありますが、なるべく自然な形でリフトアップしたいというようなケースでこの状態になったら失敗といえるでしょう。
ただし、糸リフトは治療直後にひきつれ感があっても、1週間程度で徐々に落ち着いて自然な状態になっていくため、直後にある程度のひきつれ感が生じてもそこまで心配する必要はありません。
1週間以上たっても全く改善せず、違和感が残るという場合には医師に相談するようにしましょう。
糸リフトの失敗:全然引きあがらない
糸リフトの失敗例として、全然引きあがらず効果を感じる事が出来ないというものがあります。
これはやはり医師の技術や経験が不足している場合や、糸の選択や挿入方法が適切でなかった場合に発生するもの。
糸リフトは単純に糸を入れて引き上げればいいという治療ではなく、挿入した糸を適度に皮膚の硬い部分にひっかける事でリフトアップ効果を実現するものですので、適切な治療が行われなければ全く効果を感じられなかったという結果になってしまいます。
また、部分的にはリフトアップ効果が発揮されず、部分的に強力な引き上げ効果が発揮されてしまった場合などでは肌がボコボコとしてしまう事もあります。
糸リフトは医師の技術力が結果に大きく左右する治療ですので、医師選びを慎重に行うようにしましょう。
フェイスリフト手術の失敗:傷跡が目立つ
フェイスリフト手術は切開跡がなるべく目立たないよう、髪の生え際などに沿って切開が行われる事が多い治療ですが、切開部位の選択や縫合技術などによっては傷跡が目立ちやすくなってしまう事があります。
傷跡がどの程度残るかは治療を受ける方の体質などにもよりますが、縫合の技術力が高い医師の施術であれば傷跡を最小限におさえやすくなりますので、症例経験が豊富で公開している症例が綺麗な医師や、形成外科の専門医資格を持つなど安心して治療を受けられる医師の手術を受けるようにすると良いでしょう。
また、傷跡が残るかどうかは術後に施術部位を刺激しないなどアフターケアの仕方にも影響されますので、術後はしっかりと医師の指示に従って適切なケアを心がける事が大切です。
ほうれい線の整形で失敗しないために
ほうれい線の悩みを解決するためには、適切な治療を受ける事が大切です。
失敗しないためには以下のポイントに注意してください。
クリニックや医師選びをしっかりと行う
ほうれい線の整形に限るものではありませんが、美容整形ではクリニックや医師選びが非常に重要です。
医師やクリニックの情報を広く収集し、できれば複数院でのカウンセリングを受けるなどして、信頼できるかどうかをじっくり見極めましょう。
ヒアルロン酸注入のように手軽な治療では特に「コスト重視」になりがちですが、例え注入が低価格だとしても医師の技術力が不十分であれば効果が無いどころか失敗するリスクが高まってしまいます。
また、ヒアルロン酸注入などの手軽な治療法は医師にとっても参入しやすい事から、最近では美容形成分野での治療に殆ど経験が無い医師が施術を開始するケースも多くみられます。
治療はただ注入を行えばそれなりの効果が得られるというものではなく、注入する部位や量などを適切に判断できる知見が必須となりますので、失敗を避けるためには確実に治療経験の豊富な医師を選ぶようにしましょう。
もちろん、手軽な治療だけではなく糸リフトやフェイスリフト手術といった治療については尚の事医師の経験や技術が仕上がりに大きな差を生じさせる結果となりますので、見せかけの値段だけではなく総合的に医師やクリニックを判断するようにしましょう。
治療前に医師としっかり相談する
美容整形においては、治療前の診察やカウンセリングが非常に重要です。
どのような点に悩んでいるのか、どういった仕上がりのデザインにしたいのかという点を施術する医師としっかり共有できていなければ、理想の結果を手に入れる事はできません。
クリニックによっては治療前に担当の医師と十分な相談が出来ず、結果として思っていた仕上がりにならなかったという状態になりやすいところもありますので、じっくりと医師と直接相談し、結果のイメージが共有できるクリニックを選ぶようにしましょう。
城本クリニックでは医療資格を持たないカウンセラーなどは在籍せず、診断や治療のカウンセリングを担当の医師とじっくり行う事ができますので、安心して治療を受けていただけます。
カウンセリングでは是非お悩みや理想のデザインなどを遠慮なくお伝えください。
理想を叶えるための最適な治療法をご案内させていただきます。
ダウンタイムは医師の指示にしっかりと従う
治療の後、ダウンタイムの過ごし方も治療の失敗と成功をわける大きな要因です。
どの治療であっても、治療後に適切なケアが出来ていなければデザインが崩れてしまったり、腫れなどの副作用が強くでてしまったりといった状況になりますので、術後はしっかりとケアを行うようにしてください。
なお、治療後の経過やケア方法については色々な情報が出回っていますが、治療の内容も体質も個別に異なるものですので、具体的にどのようなケアを行うべきかは一人ひとりのケースで異なるものです。
実際の治療内容に合せた最適なケアを行う事が重要となりますので、医師の指示を守ってケアを行う事が、治療の失敗を避けるたに大切なポイントとなります。
本コラムの監修医師
1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック
医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹