コラム

COLUMNワキガの原因やメカニズム、症状を抑える方法や予防法、治療の内容を詳しく解説

体臭の中でも特に多感な思春期頃から生じるケースが多く、悩みを抱えやすい「ワキガ」ですが、その原因やメカニズムを正しくご存じでしょうか?
ワキガは適切なケアを行う事である程度症状を抑えたり、予防する事も可能です。
セルフケアでは改善が難しいケースでも医療的なケアによって原因を抑える事が可能ですので、まずは正しい知識を身に着けて効果的な対策にお役立てください。

ワキガとはどのような症状か

ワキガは一般的に「ワキから強い臭いがする」という体質を表した言葉で、医学的には「腋臭症(えきしゅうしょう)」と呼びます。
臭いの種類については個人差がありますが、「スパイス(クミン)のようなニオイ」「鼻に突く酸っぱいニオイ」「鉛筆の芯のようなニオイ」といった表現をされ、これらのニオイが周囲に不快を与え、業務上の障害となるような状態であれば治療が必要なワキガとして診断されます。

ワキガの治療は主に日本を含めた東アジアで行われている

強い体臭を放つ体質のワキガですが、実はワキガを積極的に治療するのは日本や中国、韓国といった東アジアという一部地域に限定されています。
という事は欧米ではワキガ体質の人が少ないのかというとそれは逆で、実は欧米諸国やアフリカ、中東などではむしろワキガ体質の人の割合が多く、体臭がない人の方が少ない状態。
なぜワキガ体質が多いのに治療をする人が少ないのかというと、そもそも大多数がワキガ体質であるために体臭をそこまで気にする必要もないからで、体臭をより良いものにする目的で香水などの文化が発達してきたという背景もあります。

ワキガの直接的な原因は「アポクリン汗腺」からの汗

東アジアの一部地域ではワキガ体質の人が少なく、それ以外の人種ではワキガ体質が多いわけですが、ワキガ体質かどうかの違いは「アポクリン汗腺」の発達度合にあります。

アポクリン汗腺は「汗腺」とついている通り汗を分泌する器官ですが、汗といっても暑い日や運動を行った時にかくような水玉の汗ではなく、タンパク質や脂質が殆どの分泌物であるアポクリン汗腺からの汗は、皮膚にいる常在菌に分解されると強い体臭の原因となる成分に変化しワキガの原因となります。

そのため、アポクリン汗腺が発達している事がワキガ体質の原因なのですが、日本人や中国人、韓国人といった東アジアの人種のルーツであるモンゴロイド系人種はアポクリン汗腺が発達しておらず、これが理由で体臭の少ない人種となっています。
最近の研究ではこのアポクリン汗腺の発達には「16番目の染色体にあるABCC11遺伝子」が関与している事も判明しており、モンゴロイド系以外の人種では何かしらの体臭がある事が当然となっています。
ちなみに日本人も時代を遡っていくと縄文時代頃に中心であった人種(縄文人)はアポクリン汗腺が発達していたとされており、遺伝的にこの要素が強い沖縄や北海道ではワキガ体質の方の割合が高いという報告もあります。

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ワキガのメカニズム

アポクリン汗腺からの汗がワキガの原因とご紹介しましたが、ワキガのニオイが生じるメカニズムは下記のようになっています。

性ホルモンの刺激などによりアポクリン汗腺から汗が分泌される

前述の通り、ワキガはアポクリン汗腺から分泌される汗が原因となりますが、汗腺には2つの種類があり、水分の多い汗をかく汗腺をエクリン汗腺といいます。

エクリン汗腺は幼少期から活発に働いているため、気温の上昇や運動などによって体温が上がった際や、強いストレスを受けた際、辛い物を食べた際などには幼児でも汗をかきますが、一方でアポクリン汗腺は性ホルモンの働きによって発達して汗の分泌が始まるため、第二次性徴が始まる11~15歳頃までは分泌されません。

また、エクリン汗腺からの汗と異なり体温の上昇によって分泌が促進されるものではありませんので、運動などによってアポクリン汗腺から沢山汗が分泌されるというものではないといえます。
俗にいう「汗臭い」という体臭は主に垢や皮脂などが、エクリン汗腺からの汗で蒸れる事で増殖した皮膚の常在菌に分解されて生じるものなので、ワキガのニオイとは異なります。

なおストレスによって分泌が促進されるという点はアポクリン汗腺からの汗にも当てはまるため、ストレスが強いとワキガの症状も強くなりやすい可能性があります。

アポクリン汗腺の汗が常在菌によって分解される

アポクリン汗腺から分泌された汗にはタンパク質や脂質といった菌の繁殖に必要な栄養が抱負に含まれていて、更に菌の繁殖に適した温度と湿度が保たれやすくなっています。

脇にいる常在菌としては主に

  • ブドウ球菌属
  • キューティバクテリウム属
  • コリネバクテリウム属

などの菌がありますが、これらの菌がアポクリン汗腺からの汗を分解する際にニオイの元となる成分を作り出す事で、ワキガの体臭となります。

水分の蒸発とともにニオイが拡散

エクリン汗腺からの汗は殆どが水分のためニオイの元としての影響が強いわけではないのですが、菌の繁殖に適した湿度を保ってしまうという点や、汗が蒸発する際にワキガのニオイの原因となる成分を含み、ニオイを周囲に拡散させてしまうという点ではワキガの原因の一つという事ができます。
特に夏場など暑い時期に体臭が気になりやすいのは、蒸れて菌が繁殖しやすくなる点や汗の蒸発とともにニオイが拡散しやすくなるという点にも理由がありますので、なるべく汗を抑える事が対策としてのポイントになります。

衣服に付着した汗も菌の繁殖の原因に

ワキガ体質の方はアポクリン汗腺から分泌される汗の影響で衣服の脇部分が黄色く変色しやすいのですが、これは衣服に付着したタンパク質などの汚れによるものです。
この汚れを放置しておくと、衣服でも菌が繁殖するためよりニオイが強くなる原因といえます。

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ワキガ体質になりやすい人の特徴

ワキガの原因がアポクリン汗腺からの汗にあるとご紹介しましたが、ワキガ体質になりやすい人の特徴としてはアポクリン汗腺が発達しやすい人です。
日本人には遺伝的にワキガ体質の割合が少ないという事からも分かるように、アポクリン汗腺の発達度合は遺伝による影響が大きいのですが、下記の点に当てはまる場合はワキガ体質になりやすいといえます。

両親のどちらかがワキガである

遺伝は両親から受け継ぐものですので、両親のどちらかがワキガである場合は当然ワキガの可能性が出てきます。
ワキガの遺伝は「優性遺伝」といって体質に影響しやすいものとなっているため、両親のどちらかがワキガであれば50%以上、どちらもがワキガであれば少なくとも75%以上の確立で遺伝的にワキガの体質となります。
逆に言えば、両親ともにワキガ体質でなければ子どもがワキガ体質になる事はまずありません。

耳垢が湿っている

ワキガの人は耳垢が湿っていると聞いたことがあるかもしれませんが、実は耳の中にある「耳垢腺」という耳垢を作り出す器官はアポクリン汗腺の一種で、体質的にアポクリン汗腺が発達しやすい人は耳垢腺からの分泌液を耳垢に多く含むため、耳垢が湿った状態となります。
一方でアポクリン汗腺が発達していない人の場合ははがれた皮膚やホコリなどの割合が多くなるため、耳垢が乾燥した状態であり、自然と耳垢が排出されやすいので耳掃除の必要も殆どありません。

ただし、耳の中が傷ついていたり、お風呂などで水分が耳の中に入った際には通常耳垢が乾燥している人でも耳垢が湿った状態になる可能性があります。

脇の毛が濃い

アポクリン汗腺は毛穴に接続するような形で存在しているため、毛が濃いという事はアポクリン汗腺の数も多くなりやすいと言えます。
アポクリン汗腺が存在する部位は脇や乳輪周囲、外陰部や肛門周囲ですので、特にこの部位で毛が濃い(多い)場合はワキガ体質の可能性があります。
なお、外陰部などのアポクリン汗腺による汗が原因で体臭になるものは一般的に「すそわきが」と呼ばれ、ワキガとは区別されます。

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ワキガを発症する時期について

ワキガ体質の遺伝を持っていても、生まれてすぐにワキガになるわけではなく、ワキガの体臭が出てくるのはある程度成長してからです。
ニオイが出てくる時期にはいくつかのケースがあります。

第二次性徴の頃(13歳頃)

アポクリン汗腺からの汗は性ホルモンの影響によるため、ワキガになる時期として最も多いのは第二次性徴の頃です。
第二次性徴の開始時期は早い場合で11歳頃から、遅くて15歳頃など幅がありますが、平均して13歳頃が発症しやすい時期といえるでしょう。
この頃は丁度思春期の多感な時期でもあるため、体臭が原因となって周囲の人との人間関係にも影響が出てくるケースも多く、ワキガ体質の可能性がある場合はしっかりとケアなどを行っておきたい時期です。

社会に出る頃

社会人となって親元を離れるなどのタイミングでは、強いストレスがかかりやすい事や食生活の変化がおこりやすい事から、ワキガが気になり始めるケースがあります。
とくにそれまでバランスの良い食事を取れていた方が、肉や揚げ物など中心の食事に変わった場合などは体臭に影響が出やすいため、ワキガが気になり始めるという事も多いでしょう。

出産や30代後半からのホルモンバランス変化

アポクリン汗腺からの汗は性ホルモンの働きで分泌されるため、殆どの場合で20代に入ってから徐々に症状が落ち着いていくのですが、女性の場合、妊娠・出産や30代後半以降などホルモンバランスが大きく崩れるタイミングでアポクリン汗腺が活発となり、ワキガ体質になる事があります。
妊娠や出産における変化については授乳が終わりホルモンバランスが元に戻る事で治まりますが、更年期などにおける変化は適切な治療などが必要となる事もありますので、医師に相談した方が良いでしょう。

ワキガの予防をするためにやるべきこと

遺伝的にワキガの要素を持っていても、実際にワキガの体臭となるかどうかは日常生活でのケアなどが大きく影響します。
ニオイを予防するためのケアをご紹介します。

バランスの良い食事を心がけ、肉や油、強いニオイの食事を控える

アポクリン汗腺からの汗は食事によって摂取したタンパク質や脂質などを元に作られています。
そのため、肉食や揚げ物など脂っこいものが中心の食事では汗の分泌量が増加しやすく、ワキガの状態を悪化させてしまいます。
また、ニンニクや香辛料などが多く使用されたニオイの強い食事は体臭を強めてしまう原因にもなりますので、こういった食品はなるべく避けつつ、繊維質なども含めバランスの良い食事を心がける事が大切です。

ストレスをためない

ストレス社会とも言われる現代では難しい事かもしれませんが、ストレスはアポクリン汗腺からの汗を促進してしまうため、なるべくストレスをためないようにする事が大切です。
睡眠時間が不十分な状態などでは特にストレスの影響を受けやすくなりますので、夜更かしを避けてなるべくしっかりと睡眠をとるようにしましょう。

脇の毛を処理する

アポクリン汗腺から分泌される汗を止める事はできませんが、脇の毛を処理する事で脇に水分がたまりにくくなり、菌の繁殖やニオイの拡散を抑える事ができます。
定期的な処理が面倒な場合は永久脱毛をしてしまえば脇毛が無い状態にすることができるのでおすすめです。
なお、永久脱毛を行っても脇の汗腺を破壊するわけではありませんので、ワキガの根本的な解消とはなりません。

過度な飲酒や喫煙は避ける

そもそも飲酒や喫煙は体臭を強くしてしまう影響がありますが、過度な飲酒や喫煙はアポクリン汗腺を活発にしてしまうため控えましょう。

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根本的にワキガの原因を抑える治療法

ワキガの原因であるアポクリン汗腺の活動は、治療によって抑える事ができます。
具体的に行われる治療法をご紹介します。

脇のボトックス注射

ボトックス注射という、神経の働きをとめる事で汗腺をストップする注射でワキガの原因である汗の分泌を抑える事ができます。
注射の効果は数か月から半年程度のため、特に夏場など限定された時期での体臭が気になるという方や、定期的に治療を繰り返す事で症状を抑えたいという方に適しています。
汗の分泌を止める事により、脇汗をかきやすい多汗症を抑える治療としても適しています。

汗腺の除去手術

ワキガの原因であるアポクリン汗腺や、エクリン汗腺、そして皮脂腺などを直接除去してしまう事で、ワキガを根本から治療する事ができます。
手術にはいくつかの術式がありますが、特に効果が高い治療法が直視下摘除法(剪除法)と呼ばれる方法で、切開した脇の皮膚を一度裏返して直接医師が汗腺を確認しながら一つ一つ除去していくため、確実に治療を行う事ができます。

直視下摘除法の他にも、小さく切開した穴から吸引を行う器具を挿入して汗腺を除去するシェービング法などがあり、手術にかかる時間が短くなるという点やダウンタイム中の切開跡が目立ちにくいといったようなメリットがある一方で、直接汗腺を見ながら除去する方法と比べると取り残しなどのリスクがあります。

マイクロ波で汗腺を破壊する治療法(ミラドライ)

水分に反応して高温を作り出すマイクロ波を皮膚の上から照射する事で、汗腺を高温に熱して破壊する治療法がミラドライです。
水分に反応するため多汗症の治療には効果を出しやすく、手術のような術後のタイオーバー(脇の固定)が必要ない事から手軽に受けやすいメリットがある一方で、やはり一度の治療で汗腺を破壊しきれない可能性から、再手術が必要なケースがあるといったリスクもあります。

RFで汗腺を破壊する治療法(ビューホット)

高温を生じさせるRFの出る針を差し込んで、皮膚の内側から汗腺を破壊する治療法です。
こちらもミラドライと同様、術後のダウンタイムが楽というメリットはある一方で治療効果が不十分になってしまう可能性があり、また針を差し込んだ跡が一定期間残りやすいという点がデメリットといえます。

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ワキガに悩んだら一度お気軽にご相談ください

自分自身や家族などの近しい方が「ワキガかも」とお悩みの方は、まずは一度お気軽にご相談ください。
ワキガは本人や周囲にいる人ではなかなか客観的に判断がしにくく、専門知識を持った医師の診断を受ける事でニオイの程度を知り、対策方法を知るだけでも予防や解決がしやすくなります。
城本クリニックではワキガ治療の経験が豊富な医師が、無料でしっかりとお悩みを伺って治療法などを詳しくご案内しておりますので、是非ご来院いただければ幸いです。

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本コラムの監修医師

1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック

医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹

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