コラム
COLUMNバッカルファット除去で後悔しないために知っておくべきこと
小顔に憧れるという方のなかには「バッカルファット除去」と呼ばれる美容医療を聞いたことがある人もいるでしょう。
バッカルファット除去は、とくに頬の脂肪を簡単に除去できる方法として注目されていますが、ネットやSNSなどではデメリットの多さをはじめ、体験した人たちによる後悔や、頬がこけるといった悩みも散見されます。
手軽な治療で効果も分かりやすいという事から人気のあるバッカルファット除去ですが、安易に行ってしまうと様々なリスクも存在する治療ですので、実際に治療を検討する際にはメリットだけではなくデメリット部分も含めてしっかりと知った上で、慎重に治療をご検討ください。
バッカルファットとは
バッカルファット(BuccalFat)とは、頬の内側そして深い層にある脂肪のことです。
口をすぼめた際、奥歯に接触する部分一帯の脂肪を指しています。
Buccalは、英語の医療用語で「頬の」や「頬側」を意味し、Fatは脂肪のことです。
バッカルファットは、口腔内の頬内側にあるため、BuccalFatとなります。
バッカルファットは、10代や20代の頃は頬骨のあたり(頬の上部)にありますが、30代を超えると徐々に下垂し始め、顔がたるむ「ブルドッグ顔」、さらには「ほうれい線」や「マリオネットライン」といった、深くて目立つシワを作り出す原因にもなります。
このような特徴から、若い女性にとっては「ぽっちゃりした顔」の要因、そして年齢を重ねた女性からは、たるみやシワといった「老け顔」の要因となるため、この脂肪を除去してもたつきの無いすっきりとした顔を目指したい方の間で、バッカルファットの除去治療が人気となっています。
バッカルファット除去法とは
バッカルファットは、顔が大きく見えたり、老け顔になったりする要因とされていますが「バッカルファット除去」と呼ばれる美容医療によって除去可能です。
バッカルファット除去について、知っておくべきことについて項目ごとに解説します。
治療の具体的な方法
バッカルファット除去は、口腔内の奥歯より奥の部分を5ミリ程度切開し、脂肪を摘出する手術で、口の内部から治療を行うため肌表面に傷跡などが残る心配がありません。
何故内側から除去するのかというと、バッカルファットは表情筋よりも深い場所にある脂肪であるため、表面からは除去する事ができず、内側からの除去法となります。
このため、顔の脂肪吸引などではバッカルファットを除去する事はできません。
手術自体は脂肪を摘出できる程度の切開で済むことから傷口は小さく、痛みや腫れ、出血などを伴うダウンタイムが平均で1~2日と短めで、日常生活に支障が生じにくいことが特徴です。
傷跡は小さいながらも、除去できる脂肪の量は多いため、切除された脂肪の量などがSNSで話題となるなどして、人気になってきた治療といえます。
また、術後の縫合は医療用の溶ける糸を使用することが一般的で、抜糸のための通院が必要ないことも特徴と言えます。
一方、バッカルファットの量が少ない人や、皮下脂肪が多い若年層の施術は、頬がこける、左右差が生じるといったリスクを含むことも認識しておく必要があります。
このように、バッカルファット除去は、手軽に顔瘦せできる優れた術法であるものの、必ずしもすべての方に適応している方法とは言えない特徴があります。
痛み
バッカルファット除去の痛みは、術中は麻酔によって何も感じませんが、術後にジンジンするような、軽度の筋肉痛のような痛みを感じ場合があります。
痛みは、施術当日および翌日をピークにして、1週間程度の時間をかけて徐々に和らいでいきます。
ダウンタイム
バッカルファット除去のダウンタイムは、おおむね1週間程度です。
早い人であれば術後3日~5日程度で痛みや内出血などは殆どなくなります。
一方、口腔内に違和感を覚える期間は長くなるかもしれません。なんとなく奥歯周辺がつっぱる感じがしたり、腫れている感じがしたりする可能性があります。
口腔内の違和感までもなくなるまでには、2週間から1ヶ月のダウンタイムがかかると考えてよいでしょう。
バッカルファット除去後に生じやすいトラブル
バッカルファット除去によって顔瘦せが実現した後、自然に痩せた場合、頬がこける、または頬にくぼみが生じる可能性があります。
皮下脂肪が多い若いうちは目立たないかもしれませんが、高齢になって自然に体重が減った時に、極端に頬がこけてしまい、顔の印象が悪くなる可能性が否定できません。
このような問題が生じた場合、若い頃にバッカルファット除去を受け、歳を取ってから脂肪注入を受けるという、本末転倒の結果になるかもしれないのです。
適応
バッカルファット除去は、適応条件があります。
例えば、顔の脂肪が少ない人や、極端に脂肪が多い人にはバッカルファット除去は適応しません。
また、顔が大きく見える原因が、バッカルファットによるものなのか、それとも皮下脂肪なのか判断できない場合は、将来的なトラブルの可能性を考慮した場合、安易に治療すべきではないと考えられています。
バッカルファット除去によって良い結果が得られる可能性がある人の特徴として「よく頬の内側を噛んでしまう」というものがあり、頬が外側に向けてだけではなく内側に対しても大きく張り出しているような場合はバッカルファットが多いと考えることができます。
そうでない場合、安易にバッカルファットを除去してしまうと脂肪が減少するため、将来的に痩せこけたような状態になりやすいといえます。
バッカルファットの除去術は手術内容としては比較的簡単で、かつ脂肪を「取った」という実感を得やすい事から安易に患者様におすすめする医師やクリニックもあるようですが、長期的にマイナスの結果となる事もあるため、解剖をしっかりと理解して適応の見定めを正確に行ってくれる医師の診断を受けるようにしいましょう。
リバウンドしない
脂肪細胞の数は、成人以降はほとんど増減しないと言われています。
そのため、バッカルファットは一度除去すると、元に戻ることは考えにくいため、実質的にはリバウンドしないと言えます。
このことは、小顔効果が半永久的に続くと考えることも可能ですが、一方で将来的に痩せた際には(顔の皮下脂肪が落ちた場合)、頬がこけてしまって顔の印象が悪くなるリスクを含んでいます。
小顔や顔痩せといった短期的なメリットだけを追求するのではなく、中長期的な影響もよく考慮しなければならないことを忘れないようにしましょう。
バッカルファット除去のデメリット
バッカルファット除去には、主に以下のようなデメリットがあるといえます。
頬がこける
バッカルファット除去で最も大きなデメリットと言えるのが「頬がこける」ことです。
バッカルファットは、頬内側の奥深くにある脂肪を取り除くため、取り除く脂肪量を誤ると頬がこけて見えるかもしれません。
医師が判断を誤って脂肪を除去し過ぎると「ガイコツ」のような顔の印象になったり、小顔というよりも不健康な顔になったりするリスクがあります。
また、そもそも人の脂肪は加齢によって徐々に減少していくのが通常であるため、若い内に脂肪を減らしすぎると、年齢と共にどんどん頬がこけた状態となってしまいます。
何度も同じ内容となりますが、今現在の状態だけではなく将来的な変化もしっかりと考えて治療をうけるかどうか判断するようにしましょう。
顔の左右バランスが崩れる
「顔の左右バランスが崩れる」ことも、バッカルファット除去のデメリットです。
左右で同じ量の脂肪を除去したとしても、除去する脂肪の位置や、術後の拘縮の結果によっては、顔がアンバランスになるかもしれません。
極端な話、顔の右側は張りがあるのに、左側はたるんでいるということも考えられます。この結果、口元の片側がひきつったり、目の印象が変わったりするかもしれません。
人の体は基本的に左右非対称であり、この差を適切に判断してバランスのよい仕上がりとなるように治療するためには医師のセンスや技術力が非常に重要となりますので、まずは信頼できる経験豊富な医師を見つけることが大切です。
効果を実感できない可能性がある
バッカルファットは比較的多めの脂肪を除去しやすく、変化を実感しやすい治療です。
しかし、もちろんこれは全ての方で確実なものではなく、元々の脂肪量などによっては変化を実感しにくいケースもあります。
修正手術を強いられる可能性がある
「修正手術を強いられる可能性がある」こともバッカルファット除去のデメリットです。
例えば、手術によって顔の左右バランスが崩れたり、頬の一部だけが凹んでしまったりするような場合は、その状況を改善するためには脂肪注入や脂肪吸引といった修正手術が必要となる事もあります。
仮に、修正手術で問題を解消できたとしても、身体的な負担や精神的な負担は否定できず「こんなことになるはずじゃなかった」と後悔するかもしれません。
しっかりと適応があるかどうかの判断をして、脂肪を過剰にとり過ぎないように治療をする事が大切です。
バッカルファット除去をおすすめしない人のタイプ
バッカルファット除去は、すべての方に適応するとは限りません。
バッカルファット除去をおすすめしないタイプは以下に該当する人です。
- 顔の脂肪が少ない(顔が細い)
- 頬が膨らんでいない
- 脂肪の量が極端に多い(明らかに太っている)
- たるみが大きい
- 若年層(10代から20代前半)
上記の条件に該当する人がバッカルファット除去を受けた場合、頬がこける、頬の一部が凹む、将来的に顔のバランスが崩れる、または効果が実感できないといったことに直面するかもしれません。
治療直後は良かったとしても、年を重ねるにつれてマイナスの印象が強くなっていく場合もあります。
こうしたトラブルを避けるために、まずは専門の医師の見解を聞いたうえで、リスクやデメリットをよく理解し、治療を受けるかどうか判断する必要があります。
医師やクリニックによっては十分なリスクの説明をせずに治療を推奨するケースもありますので、できれば複数の医師からのカウンセリングを受けて、様々な視点から治療の判断を行うようにすると良いでしょう。
安易に「小顔になりたい」や「顔の大きさがコンプレックスだから」といって、バッカルファット除去にこだわることはおすすめしません。
バッカルファット除去と脂肪吸引の違い
バッカルファット除去と似た治療に「脂肪吸引」があります。
脂肪吸引はカニューレという器具で脂肪を直接吸い出して除去する治療で、口内などではなく肌表面から脂肪の除去を行う治療です。
ふたつの治療法には、主に以下のような違いが挙げられます。
除去する脂肪の種類
バッカルファット除去と脂肪吸引の最大の違いと言えるのが「除去する脂肪の種類」です。
バッカルファットは、前述の通り筋肉よりも深い部分にある脂肪であるのに対し、脂肪吸引の対象となる皮下脂肪は、筋肉より上の部分にある皮下脂肪で、主に顔の頬、顎、フェイスラインといった部位にあります。
筋肉より深い部分にあるバッカルファットは皮膚表面からの治療である脂肪吸引で除去する事ができないため、専門の治療として口腔内からの切除術が行われるのです。
一方で、目に見える「脂肪による膨らみ」は主に表面側の皮下脂肪ですので、脂肪によって顔が大きく見えてしまっているような場合、まずは脂肪吸引で表面側の脂肪を除去した方が効果が分かりやすいケースが多いといえます。
期待できる効果
バッカルファット除去は、あくまでも「頬の脂肪」を対象にしているため、この部分の脂肪を無くすことで顔のたるみ、フェイスライン改善、ほうれい線などのシワ解消といった効果が見込めます。
対照的に、脂肪吸引は「顔全体の脂肪」が対象であることから、顔のたるみ、フェイスライン改善、皮膚の引き締め、そしてバッカルファット除去では困難な二重顎の解消などにも効果があります。
ひと言で「小顔になりたい」と言っても、どのような症状を改善することで、小顔になれるかをしっかり見極める必要があるため、必ずしもバッカルファット除去が有効とは言えません。
ダウンタイム
バッカルファット除去と脂肪吸引の違いには「ダウンタイム」もあります。
バッカルファット除去のダウンタイムは、おおむね1週間程度であるのに対し、脂肪吸引は目立つ腫れやむくみ、痛みといった状態が1~2週間程度続き、完全にむくみなどが出ない状態に治まるまでには1~3ヶ月程度かかります。
また、バッカルファット除去は、口腔内の切開ですので、周囲からバレるようなことはありませんが、一方で脂肪吸引は皮膚に器具を挿入するようにして実施するため、しばらくは内出血の跡が見えて、周囲にバレる可能性があります。
バッカルファット除去で後悔しないクリニック選び
バッカルファット除去を受ける際には、クリニック選びが重要です。クリニック選びでは、以下のポイントを参考にして選ぶようにしてください。
- バッカルファット除去や脂肪吸引の実績が豊富
- デメリットやリスクを明示している
- 保証やアフターフォローが料金に含まれている
バッカルファット除去を受けるクリニック選びでは、バッカルファット除去や脂肪吸引といった痩身治療の実績が豊富なクリニックを選ぶことをおすすめします。
バッカルファットの除去ばかりではなく、脂肪吸引治療などの症例がしっかりとある所を選ぶ事で、双方の治療の特徴をしっかりと踏まえた上で、最適な治療方法の選択をする事ができます。
バッカルファット除去ばかりを行っているクリニックや医師の場合、その治療が本当に良いから行っているのではなく、手軽に行えるという事が理由の1つになってしまっている事も考えられます。
複数の治療方法に対して十分な症例実績を持ったクリニックであれば、正確に適応を判断して最適な治療を受けやすいといえるでしょう。
また、カウンセリングの際にバッカルファット除去に対するデメリットやリスク、さらには適応について丁寧な説明があるかどうかも1つのポイントです。
デメリットを説明せず、むやみやたらに治療をすすめてくる場合は危険です。
まずは一度城本クリニックにご相談ください
城本クリニックでは、脂肪吸引など幅広い痩身治療の経験が豊富な専門医が、患者様のお悩みをじっくりと伺って、体質や体型、目的とする理想の仕上がりに応じて最適な治療方法のご提案をしております。
医療資格を持たないカウンセラーなどがいないのも特徴の1つで、医院の運営は医師と看護師のみで行っており、しっかりとした医師の診察により、医学的に適切な治療のみをご案内しているため、安心して治療を受けていただく事ができます。
まずは希望される治療に適応があるのか、どのような治療が適切なのかを知りたいというだけでも大丈夫ですので、一度お気軽にご相談ください。
本コラムの監修医師
1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック
医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹