コラム
COLUMN後悔しないために知っておきたい脂肪吸引のデメリット
なかなか落とせない脂肪をなんとかしたいという思いで「脂肪吸引」を受けてみようと考えたことがある方は多いと思います。
脂肪吸引は美容医療のひとつで、顔、二の腕、お腹、太もも、そしてお尻など、脂肪が付きやすい部位の部分痩せを確実に実現する方法として、数ある瘦身治療のなかでも高い人気を誇ります。
一方、脂肪吸引はダウンタイムがあったり、傷跡が目立ったりするというデメリットもあり、それらが懸念材料になっているという方も多いことでしょう。
そこでこの記事では、これから脂肪吸引を受けようとしている方に向けて、デメリットや術後の影響といったことについて、分かりやすく解説します。
脂肪吸引のデメリット
脂肪吸引のデメリットとして、主に以下のようなことが挙げられます。
他の瘦身治療よりも費用が高い
脂肪吸引の最も大きなデメリットいえるのが「他の瘦身治療よりも費用が高い」ことです。
脂肪吸引にかかる費用は、部位によって変動するものの、最低でも200,000円はかかると考えてよいでしょう。
とくに、脂肪の量が多いとされる部位のお腹(上腹部、下腹部、脇腹)については、人によっては600,000円を超えることも考えられます。
費用が高くなる理由は脂肪吸引の手術は他の治療と比べて大がかりなものであり、治療の準備や手術時間が多くかかる事、そして様々な術後ケアが必要になるためです。
これらの費用は、他の瘦身治療と比べるとどうしても高くなってしまうため、コスト重視の人にとってはデメリットと言えるでしょう。
ダウンタイムがある
ダウンタイムがある、そしてダウンタイムが長いことも脂肪吸引のデメリットです。
ダウンタイムの長さは、部位によって異なるものの、最低でも手術から抜糸までの1週間は安静にすごす事が必要となります。
特に術後3日間程度は強い痛みや腫れなども生じるため、極力外出などは控え、痛み止めなどを服用しながらゆっくりと静養するというケースが多く、日常生活にも色々と制限がかかる事がほとんどです。
また、抜糸の後も軽い痛みや腫れ、内出血や傷跡といった副作用が少なくとも1ヶ月程度は続きます。
肌のデコボコが生じる可能性がある
脂肪吸引のデメリットのひとつが「肌のデコボコが生じる可能性がある」です。
脂肪吸引した部位周辺の肌表面がデコボコする症状は「表面不整」と呼ばれるもので、自然にできるパターンと人為的ミスによるパターンの2つがあります。
自然にできるパターンは、脂肪吸引した箇所にできる空洞化した部分において、細胞同士が癒着して固まる「拘縮(こうしゅく)」などによるものです。
拘縮は組織の回復に従って徐々に改善するため、最終的には問題の無い状態に落ち着きます。
一方、人為的ミスによってできるパターンは、担当医の技量が低いことなどが大きく影響し、脂肪細胞を均等に吸引できないことなどで起こります。
自然な状態に仕上げるためには脂肪をある程度残して柔軟性を持たせることが大切なのですが、皮下脂肪をとり過ぎると筋膜と皮膚がくっついて柔軟性がなくなり、その部分の動きが悪くなって肌にデコボコとして表れます。医師の技術力が低いとこうしたトラブルが生じやすくなるのです。
拘縮は自然に改善していくものであり、更にセルフマッサージなどによっても早く解消をしていく事ができますが、人為的ミスによる肌のデコボコは修正治療が必要になる場合もあります。
傷跡が目立つかもしれない
脂肪吸引は、カニューレと呼ばれる極細の注射器のような物を挿入して脂肪を吸引しますが、カニューレを挿入する部分は小さく切開が行われるため、一時的ながら傷跡が残ります。
この傷跡が消えるまでにかかる時間は個人差があり、数か月で綺麗になくなる場合もあれば、色素沈着を起こして、うっすらとしたシミのような形で残る可能性もあります。
仮に、お腹の脂肪吸引を受けた後、複数の傷跡が見て分かるような状態になった場合、肌を露出することに抵抗を感じるようになるかもしれないため、人によってはデメリットと言えるでしょう。
内臓脂肪は吸引できない
ヒトの脂肪は、皮下脂肪と内臓脂肪の2種類があり、脂肪吸引で対応できるのは皮下脂肪だけです。
例えば、ぽっこりお腹で悩んでいる女性が脂肪吸引を受けようとしても、根本的な原因が内臓脂肪だとしたら、脂肪吸引による痩身効果を実感しにくいかもしれません。
つまり、内臓脂肪の割合が多い人や、内臓脂肪を落としたいと考えている人にとって、必ずしも脂肪吸引が最適とは言えないためデメリットになります。
体重の変化が少ない
「体重の変化が少ない」ことも脂肪吸引のデメリットとしてあげられる事がよくあります。
実際に、脂肪吸引によって脂肪を取り除けたとしても、多くの場合において体重そのものの変化は感じないでしょう。
この理由は、脂肪組織の密度が影響しています。脂肪組織の密度は、0.9007g/立方センチメートルであり、水よりも軽いことが特徴です。
つまり、脂肪吸引によって、たくさんの脂肪組織を取り除けたとしても、体重に反映されにくいと言えます。
また、脂肪吸引では安全に一度に除去できる脂肪の量に上限があり、体重の5%程度とされます。
これ以上の脂肪を一度にとると脱水症状などによる危険性が生じます。
つまり、体重が60㎏の人であれば約3㎏程度を減らす事が上限であり、体重だけでみれば「大幅に痩せた!」という実感を得ることが難しいといえます。
もちろん、体重が減らないというわけではなく、除去した分の体重は減りますが、脂肪吸引は、見た目の印象を大きく変えることは可能である一方、体重の大きな変化は期待できないといえます。
脂肪吸引した後に気になるポイント
脂肪吸引のデメリットと合わせて、脂肪吸引後の懸念材料になりやすいポイントについてもご紹介します。
思ったより痩せていないように感じる
脂肪吸引を行った後で、思っていた(カウンセリングで聞いていた)よりも細くなっていないと焦る事がよくあります。
これは実際の手術で十分に脂肪を除去できていなかったという可能性もありますが、殆どの場合は治療後のむくみなどがまだ続いているものです。
脂肪吸引の後は組織が回復するために体の中から様々な成分が分泌され、非常に浮腫みやすい状態となります。
術後1ヶ月程度でおさまっていく方もいますが、多くの場合はこの状態が数か月続くため、なかなか最終的な仕上がりの状態にならずに焦ってしまう事がよくあります。
なかなか効果が実感できないと感じても、半年程度は様子をみるようにして、焦らずにしっかりとケアを続けるようにしましょう。
とくに手術後の圧迫ケアは仕上がりに大きく影響を与えるため、医師の指示に従って必ず継続するようにしましょう。
リバウンドの心配
せっかく脂肪吸引を受けても、後にリバウンドして元に戻ってしまっては意味がないのではないかと心配する人は多いでしょう。
脂肪吸引した部位ではリバウンドは起こりにくいと言えます。
この理由は、脂肪吸引は通常のダイエットのように脂肪細胞の大きさを小さくするのではなく、脂肪細胞の量自体を減らすためで、仮に手術の後で沢山食べるなどして脂肪が大きくなったとしても、脂肪細胞の少ない「脂肪吸引を行った箇所」は他と比べて太りにくくなります。
脂肪細胞の数は成人以降にほとんど増えないため、一度脂肪吸引を行えばその部分は太りにくい状態がずっと続くのです。
もちろん、だからといって食べ過ぎによって太らなくなるものではなく、過剰なエネルギーは脂肪細胞が残っている部分に蓄積されていきますので、食べ過ぎれば体重が増えるという状態には変わりがありません。
あくまでも脂肪吸引を行った場所が、簡単に元の状態に戻ってしまうというような事は無いという事になりますが、リバウンドのリスクは非常に低いといえます。
皮膚のたるみ
「皮膚のたるみ」も脂肪吸引後の気になるポイントです。
脂肪吸引すると脂肪細胞の量は減りますが、皮膚の面積は変わらないため、皮膚が余って「皮膚のたるみ」が生じる可能性があります。
しかし、殆どのケースでは脂肪吸引で皮膚がたるむことはありません。
手術後に皮膚が弛んでしまうのは、かなりボリュームがある箇所の脂肪を大幅に減らしたり、年齢的に肌のたるみが改善されにくいような状況の場合です。
そのため、肌代謝が低下した一定以上の年齢の方が皮膚が余ってしまうほど脂肪を大量に吸引することを望むといったようなケースでない限り、脂肪吸引による皮膚のたるみは起こらないと考えてよいでしょう。
皮膚にたるみができてしまうような可能性がある場合は医師からその旨の説明がされ、その上でどの程度の仕上がりを目指すかを決めていく事となりますので、じっくり医師と相談して治療内容を決めましょう。
脂肪吸引していない部位の変化
脂肪吸引後の懸念点として「脂肪吸引していない部位の変化」もあります。
例えば、ぽっこりお腹の解消を目的とした脂肪吸引を受けた場合、脂肪吸引していないお尻や太ももといった部位と脂肪細胞の量に差異が生じます。
この結果、将来的にお腹の脂肪とお尻などの脂肪がアンバランスになって、体のラインが崩れたり、お尻や太ももに脂肪が集中しているように見えたりすることが想定されます。
また、脂肪吸引が細かくわかれているような場合、例えば下腹部とわき腹など近い場所にも関わらず片方しか脂肪吸引を行わないと、お腹に段差が出来てしまうというようなトラブルに繋がるケースも考えられます。
このような事態を防ぐために、術前に医師と入念に相談を行い、治療を行う部位だけではなく全身のバランスをしっかりと考えた治療を受けるようにしましょう。
脂肪吸引のメリット
脂肪吸引と他の痩身方法と比べた場合に、特に大きなメリットをご紹介します。
部分痩せや細かなボディデザインが可能
脂肪吸引のメリットとして「部分痩せが可能」ということがあります。
例えば、二重顎を解消するために、顎やフェイスラインといった特定部位の脂肪だけを落とすことが可能です。
他にも、胸のサイズダウンを避けつつ、お腹周りの脂肪を落とすといったことも可能であるため、望んだ通りの結果になりやすいでしょう。
一般的な運動や食事制限といったダイエット法では、部分瘦せは難しいとされているため、気になる部位の脂肪だけを落としたいと考えている人にとってはメリットと言えます。
また、他の痩身治療と比べた時に、ある程度のデザイン性を作りやすいという点が優れていて、例えば脂肪冷却などは施術部位の脂肪をある程度減少させる事はできても、どの程度減らせるかは体質やマシンなどによって異なるため、理想とする痩せ方ができる保証はありません。
一方で脂肪吸引はどの程度脂肪を減らすかをコントロールできるため、理想的とするボディラインを細かく調整して作りやすいといえます。
即効性が高い
脂肪吸引は、食事や運動などを通して痩せることよりも早く結果が出る事はもちろん、他の痩身治療と比べてもやはり最も早く効果が得られるという特徴があります。
すぐに痩身効果を実感したいという人や、生活習慣の改善によるダイエットに限界を感じているという人にとって、このメリットは大きいと言えるでしょう。
治療を繰り返す必要が無いため、総額としてはコストも低く済む場合もあります。
リバウンドしにくい
前述のとおり、「リバウンドしにくい」ことも大きなメリットです。
脂肪吸引によって、脂肪細胞が減少した部位は、再び脂肪が付いたとしても脂肪細胞量そのものが少ないため、太りにくい状態となります。
仮に、体重が増えたとしても、脂肪吸引した部位のラインや見た目には影響しにくいため、実質的にはリバウンドしているようには思えないでしょう。
お腹や太ももなどに、繰り返し脂肪が付いてしまうという人や、長期的なダイエットの継続が苦手ですぐリバウンドしてしまうといった方にとっては大きなメリットになるでしょう。
脂肪吸引がおすすめの人
脂肪吸引のデメリットを考慮すると、主に以下のような条件に当てはまる場合は、脂肪吸引が適していると言えます。
脂肪を落とす部位が明確になっている
「脂肪を落とす部位が明確になっている」場合は、脂肪吸引が適しています。
具体的には、ぽっこりお腹をどうにかしたい、太ももを細くしたい、さらには二重顎を解消したいといったように、悩みが明確であるほど脂肪吸引の効果を実感しやすくなるでしょう。
予算を確保できる
予算を確保できることも大切なポイントです。
前述したように、脂肪吸引は部位や施術内容によって、数十万から百万円以上の金額がかかるため、これだけの予算を確保する必要があります。
ただ、一括で支払う必要はなく医療ローンを利用したり、クレジットカードの分割払いなどを使ったりする選択肢もありますので、まずは理想の体型を手に入れるための治療にいくらかかるのか、そしてそれを支払う選択肢としてどのようなものがあるのかを知るためにも、一度クリニックのカウンセリングを受けてみると良いでしょう。
ダウンタイム時間をしっかりと過ごせる
脂肪吸引は、部位によって異なるものの、美容整形術の中では比較的ダウンタイムが長い治療です。
ダウンタイム中は場合によっては日常生活に制限が生じ、仕事や学校、家事などに支障が生じるかもしれません。
周囲からも分かるような腫れや内出血といった症状があっても支障がないのであれば、脂肪吸引は受けやすいと言えます。
脂肪吸引を受けるクリニックの選び方
脂肪吸引のデメリットを理解したうえで、脂肪吸引を受ける場合はクリニック選びも重要になります。
脂肪吸引を受けるクリニック選びは、以下3つのポイントを参考にしてください。
症例数が豊富な医師が在籍するクリニックを選ぶ
脂肪吸引を受けるクリニック選びでは「症例数が豊富な医師が在籍するクリニックを選ぶ」ようにしましょう。
クリニックの公式ウェブサイトやSNS等で、医師の経歴や脂肪吸引の症例数、症例写真などを参考にしてみてください。
医師の技術力を裏付けるものとしては、「形成外科専門医」の資格を所持している事なども参考となります。
専門医資格は医師免許を取得した後に一定のカリキュラムや試験を通過した医師に与えられる資格で、とくに形成外科専門医の資格を保有している医師は脂肪吸引のような形成外科術に一定の経験を持っている事が証明されているといえます。
施術歴が長いクリニックを選ぶ
脂肪吸引は、日本国内で実施されるようになっておおよそ30年とされているため、30年程度の施術実績があるクリニックほど経験や技術力を伴っていると言えます。
長年にわたって脂肪吸引を実施しているクリニックは、吸引後の長期的な経過などについてもしっかりと症例を持っているため、術後の将来的な変化も含めて適切かつ安全な治療が受けやすいといえます。
担当医を指名できる
脂肪吸引を受けるクリニック選びでは「担当医を指名できる」こともポイントです。
脂肪吸引は、担当医の経験やデザイン力、そして吸引の技量が求められる事は当然ですが、優秀な医師が在籍していたとしてもその医師の治療を受けられないのであれば、素のクリニックを選ぶ意味がありません。
信頼できる医師をみつけ、その医師を担当医として指名できるクリニックを選ぶ事が1つのポイントとなるでしょう。
脂肪吸引と合わせて検討したい瘦身治療
脂肪吸引のデメリットがメリットを上回るという場合は、脂肪吸引以外の瘦身治療を検討してみるのもよいかもしれません。
美容クリニックで受けられる瘦身治療は、主に以下のようなものがあります。
メソセラピー(脂肪溶解注射)
脂肪吸引以外の方法でおすすめなのが「メソセラピー(脂肪溶解注射)」です。
この方法は、脂肪細胞を溶解する薬剤を気になる部位に注射するもので、低コストでダウンタイムがない、そして周囲にバレにくいといったメリットがあります。
一方、脂肪吸引ほどの瘦身効果や、即効性には及ばないため、プチダイエット向けと言えるかもしれません。
ボトックス注入
「ボトックス注入」も痩身治療として行われる事がある治療です。
ただし、ボトックスについては脂肪を減らすのではなく、筋肉の働きを抑える薬剤を注射する方法で、ふくらはぎの痩身や、エラ張りによる二重顎の改善といった目的となるため、痩身効果としては限定的です。
医療HIFU(ハイフ)
脂肪吸引以外の瘦身治療として「医療HIFU(ハイフ)」も選択肢の一つです。
この方法は、超音波の力によって脂肪細胞に熱を加えて破壊し、瘦身効果を生み出すものです。
メソセラピーは薬剤で脂肪を溶かす方法で、ハイフは超音波による熱で脂肪を溶かすという事になります。
痩身目的での治療が行えるハイフとそうでないものがありますので、痩身治療を希望する場合は対応するハイフを導入しているクリニックを選びましょう。
まとめ
脂肪吸引のデメリットは、費用やダウンタイム、そして術後の影響などがありますが、脂肪吸引の効果は、瘦身治療の中で最も高いと言えるため、デメリットをクリアできるのであれば是非ご検討いただきたい治療であるといえます。
城本クリニックでは脂肪吸引の症例が豊富な医師が多数揃っており、安全かつ効果的な治療をご提供しておりますので、気になるという方は是非一度カウンセリングだけでもお受けいただければと思います。
本コラムの監修医師
1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック
医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹