コラム
COLUMN下着からはみ出る「脇肉」を何とかしたい。脂肪がつく原因と解決法について
ブラジャーをつけた時、その上下ではみ出るような形に飛び出してくる脇肉。
特にTシャツやタンクトップなどの薄着になる時期で気になりやすいこの部分の脂肪をなんとか解消したいという方は多いのではないでしょうか。
今回はそんな脇肉について、ここのぜい肉が目立ちやすい方の特徴や悩みを引き起こす原因、そしてセルフケアや美容治療を含めての解決法について詳しくご紹介します。
なぜ「脇肉」がついてしまうのか
食べ過ぎたり運動不足によって、日々の消費カロリーが食事によって摂取しているカロリーよりも増えていけば太るもの。
……という事は前提として、ではなぜ全身としてはそこまで変わらないのに、脇肉ばかりが増えたと感じる事があるのでしょうか。
脇肉がついてしまう原因は下記の通りです。
姿勢の悪さによるもの
全身の中でも、特に脇肉が気になるという方は姿勢の悪さが大きく影響している可能性があります。
脂肪のつき方だけで言えばそこまで脇肉部分に脂肪が集中しているわけではなくても、例えば猫背や巻き肩などの姿勢で肩が前方に出てしまっていると、脇部分の脂肪も一緒に前方に押し出される形となるため、脇部分が盛り上がるような形で脇肉が目立つようになります。
現代人はスマートフォンなどを日常的に使用しており、画面を見る時に頭が前傾姿勢になる事が多いため猫背やストレートネックなどの悪い姿勢になりやすいと言われています。
こうした悪い姿勢を続けていると身体のバランスが崩れて体型にも影響がでてきてしまいやすいので、日ごろから正しく身体に負担の少ない姿勢を心がける事が大切です。
上半身の筋肉のコリによる代謝の低下
肩こりや首コリなど、筋肉の緊張によるコリはその周囲の血流を低下させます。
細胞は血管から栄養や酸素を受け取って活動し、代謝しているため、血流が悪化すると代謝能力が低下してしまいます。
肩甲骨周りや胸筋などの筋肉がこっていると、その周囲の部位で代謝が低下するために脂肪も燃焼されにくくなり、脇肉がつきやすくなる原因となります。
筋肉のコリは運動不足や、やはり姿勢の悪さによって特定部分に負荷がかかり続ける事などによって生じますので、適度なストレッチや運動、そして普段からの姿勢に注意するといった対策が必要です。
むくみによるもの
細胞が代謝によって作り出した老廃物や水分が、正常に体外に排出されていかずにリンパなどで蓄積されていくと身体がむくんだ状態となります。
むくみは塩分のとり過ぎや、逆にカリウムなどの体内における水分のバランスを調整する栄養素が不足しているとおこりやすく、むくみによって太く目立ってしまうケースがあります。
また、脇肉部分がむくみによって目立ちやすくなる要因の一つとして小さすぎる下着(ブラジャー)による圧迫があり、適切なサイズではない下着を着用する事でリンパが圧迫され、ただしく排出ができなくなりむくみが出やすくなります。
下着サイズはサイズを正しくはかって使用しているつもりでも、体型の変化によってサイズが合わなくなっていたり、生理周期によっても大きさが合わなくなる事がありますので、出来る限り常に適切なサイズの下着を着用するようにしましょう。
筋力などの衰えによる消費エネルギーの減少
脇周辺、つまり肩甲骨やウエストの筋肉は、日常生活の中では意識しなければあまり使わない部位です。
腕や足は比較的日常生活の中でも負荷がかかりますが、背中の筋肉は重い物を持ち上げたり、懸垂のような動きをする事が無い限りはそこまで使われないため、加齢等によって衰えやすい部位といえます。
筋肉が衰えて少なくなれば代謝が低下するたため脂肪もつきやすくなりますし、皮膚や皮下脂肪といった組織はその下にある筋肉によって支えられていますので、支えが弱くなれば重力に負けて弛んだ状態になりやすく、これが脇肉部分が垂れて目立ちやすくなる要因の一つです。
脇肉を解消するためのセルフケア
気になる脇肉を解消していくため、まずはセルフケアで行える対策方法をご紹介します。
まずは正しいサイズの下着を着用する
脇肉を改善するため、まず初めに見直すべきものが下着です。
前述のように、正しいサイズの下着を着用しないと胸回りがむくみやすくなったり、血流が阻害されて代謝を低下させる要因となります。
また、下着のサイズが大きい場合にはバストがしっかりと支えられないため、日常の動作によってバストが動いて「クーパー靱帯」というバストの形を整える組織がダメージを受け、乳房下垂などのトラブルに繋がる事もあります。
しっかりとバストが保護されつつ、圧迫が強すぎない正しいサイズの下着を着用する事で、目立つ脇肉も改善できますし、そもそも脇肉が目立つように感じる原因が下着による締め付けが強すぎて上下に脂肪がはみ出している状態であった場合はこれだけでも改善が見込めます。
下着については、正しいサイズのものを選ぶと同時に正しい着用法を心がける事も大切です。
脇肉が目立つのはブラジャーを正しく着用できていない可能性も高く、背中や脇部分の脂肪もしっかりとブラジャーの中におさめるような形で着用する事がバストをより大きく綺麗にみせつつ、脇肉などのトラブルを解消する方法です。
肩回りや胸回りのストレッチをする
肩回り(肩甲骨周り)や胸(大胸筋)の筋肉がこっていると、筋肉の緊張にひっぱられて猫背や巻き肩といった姿勢になりやすく、代謝も低下します。
筋肉の緊張を緩和するためには適度なストレッチが有効です。
1:腕を前に突き出して背中を伸ばすストレッチ
まず、両手を胸の前で、手のひらが前に向くように組みます。
その状態で、背中を徐々に丸めながら手のひらを前に押し出すように身体を伸ばしていきます。この際には息をゆっくりと吐き出し、5~10秒程度で伸ばしていきます。
背中がまるまった状態で伸びたら、ゆっくりと息を吸い込みながら元の状態に戻ります。
これを3回ほど繰り返しましょう。
肩甲骨や背中の筋肉を伸ばすストレッチです。
2:肩を伸ばすストレッチ
片手を上に伸ばし、肘をまげて手のひらが背中の方にいく状態にします。
反対の手で肘を掴み、ゆっくりと息を吐きながら肘を下の方に引いて下げていくと、肩回りや脇部分の筋肉が伸びます。
10秒ほど伸ばしたら、ゆっくりと元の状態にもどしてこれを3セットずつ、左右で行います。
これも肩甲骨周りや、脇部分の筋肉をほぐして脇肉の解消に役立ちます。
3:胸を開くストレッチ
両手を背中の後ろで合せて組みます。
ゆっくりと息を吐きながら腕を後ろに引いていきます。胸が横に開く形となりますので、出来るかぎり大きく胸が開くような形で伸ばしていきます。
10秒ほど伸ばしたら、ゆっくりと息を吸いながら元の状態にもどり、これを3回ほど行います。
大胸筋を伸ばす事で巻き肩などの状態を改善します。デコルテ周囲の血流が良くなり肌が明るくなるといった点も美容面でプラスとなります。
筋力トレーニングをする
脇や背中の筋肉は、日常生活の中であまり使われる機会が無いため衰えやすい部位です。
トレーニングで脇肉の脂肪だけを燃焼させるという事はできませんが、脇や背中部分の筋肉を鍛えて引き締める事で脇肉が目立たない状態にできます。
脇肉の改善には、「前鋸筋」という肩甲骨を動かす筋肉や、「外腹斜筋」という体をひねったり横に傾けたりする時の筋肉を鍛えると効果的です。
1:寝ながら行う前鋸筋のトレーニング
前鋸筋は肩甲骨、つまり肩を前に押し出すような形で負荷をかけると鍛える事ができます。
簡単な方法はまず仰向けになり、両腕を真っすぐ天井に向かって「前へ習え」をするような形で伸ばします。
この状態から、肩甲骨の動きを意識しながら腕を前に突き出します。肩が地面から離れればOKです。
その後は肩を元の位置(地面とくっつく状態)に戻し、また前方に押し出すという動作を20回ほど繰り返します。
出来れば軽めのダンベルを持つなど、多少の負荷をかけるとトレーニング効果が上がります。ただし、落としてしまうと顔にぶつかるなどして危険ですので、無理なくしっかりと持ち上げられるようなものにしておきましょう。
寝る前のちょっとしたタイミングでも取り入れる事が可能なので、手軽に始めやすいトレーニングです。
2:腹斜筋を鍛えるツイストレッグレイズ
まず、仰向けになって手を横に大きく開き、足を伸ばしながら、できれば体と足が直角となるように持ち上げます。
足を曲げないように意識しながら、足先を左右に振って地面につかないくらいの位置まで下げ、再度元のポジションまで戻します。
体をひねるようなトレーニングによって、腹斜筋が鍛えられて脇部分を引き締める事ができます。
左右交互にひねって20回ずつ3セットほど行いましょう。
脇肉をすばやく綺麗に解消する美容治療
セルフケアで脇肉の改善を行うための方法をご紹介しましたが、セルフケアでは基本的に筋肉を鍛えて体を引き締めるか、むくみなど脇肉が目立ってしまう原因を改善するかといった内容であって、脇の脂肪そのものを狙って減少させるという事はできません。
食事制限や運動によるダイエットというのは、全身の脂肪を満遍なく減らしていく方法となっているため、特定の部位についた脂肪だけを減らす「部分痩せ」は困難なのです。
一方で、美容治療における痩身には「脂肪細胞そのものを減少させる」方法があるため、脇についた脂肪を直接減らしていく事ができます。
具体的な治療としては、脂肪吸引や脂肪溶解注射があります。
脇肉を改善する脂肪吸引
脂肪吸引はカニューレという器具で直接脂肪細胞を吸い出し、狙った部位を細くする痩身治療です。
脂肪細胞を体内から取り除くため、すぐに部分痩せの効果を実感可能であり、また脂肪をため込んでいく細胞そのものが無くなるため、リバウンドしにくいという点がメリットです。
一方で、脂肪吸引は美容治療の中でも難易度が高く、十分な経験や技術を持った医師による治療でないと脂肪を十分に取れたところとそうでないところに段差や凹凸が出来てしまったり、皮膚や筋肉といった組織にダメージが加わって術後の痛みや腫れといったダウンタイムが長引いたりしてしまう可能せいもあります。
脇肉部分や背中に脂肪吸引を行うと、たるみの原因となる脂肪細胞を直接減少させる事が出来るため、スッキリとした脇やウエスト回りを作る事ができます。
また、治療法によっては脂肪吸引で採取した脂肪細胞をバストに注入する「脂肪注入豊胸」も可能ですので、バストサイズをアップさせながらその周囲をスッキリとさせるという事もできます。
脂肪吸引を受ける際の注意点
脂肪吸引治療は、医師の技術力によって仕上がりが大きく変わる治療です。
吸引を行う際は脂肪細胞を直接目視しながら治療を行うのではなく、指先の感覚で吸引の状態を確認しながら治療するため、十分な技術力が無いと脂肪を十分に取れなかったり、逆にとりすぎて皮膚と皮下組織がくっついて見た目が悪くなってしまったり、段差や凹凸といったトラブルに繋がる事もあります。
術後のダウンタイムについても、吸引を行う際に皮膚や筋肉などの組織がどの程度傷ついたかなどによって痛みや腫れといった症状の度合が変わるため、出来れば複数件のカウンセリングを受けて、WEBなどで公開されていない医師の症例も確認した上で信頼できる医師の治療を受けるようにしましょう。
脂肪吸引は広い範囲で行ってもらえるところを選ぶ
脂肪吸引を受ける際は、脇肉だったら「脇肉部分だけ」といった形での治療は推奨されません。
なぜなら、狭い特定の部位にある脂肪を減らすとその周囲と段差が出来て仕上がりがおかしくなってしまう可能性が高く、逆に周囲の部位と馴染むように吸引を行うと、脂肪細胞を十分に減らさない形で治療が行われてしまう可能性があるためです。
脇肉部分であれば、ウエストや背中といった周辺部位も加味した上で、出来るかぎり広い範囲でしっかりと治療を行ってくれるようなクリニックを選ぶと、より満足度の高い仕上がりになりやすいといえます。
自然と脂肪細胞を減らしていく脂肪溶解注射
脂肪溶解注射は、脂肪細胞を溶かして破壊する薬剤を注射する事によって痩身効果を得る治療です。
脂肪吸引と比較して脂肪細胞の減少が徐々に行われるため、十分な効果を実感するためにはある程度の期間が必要となりますが、徐々に脂肪細胞が減っていくため周囲に違和感をもたれず、自然と細くなっていく事が可能です。
また、脂肪細胞の数が減少するためリバウンドしにくという点では脂肪吸引と同じで、狙った部位のサイズだけを減らす部分痩せが可能です。
脂肪溶解注射では大きな副作用も無く、ダウンタイムは特にありませんが、注射による内出血などが1~2週間程度生じるケースがあります。
また、一度の治療だけでは効果が発揮されにくく、複数回の注射が必要になる事が多いため、最適な治療プランについては医師とよく相談しましょう。
脇肉などの広めの範囲だけではなく、目元やフェイスラインなど細かい部分の脂肪を減らす治療としても有効です。
素早く脇肉を改善したい方は是非専門の医師にご相談ください
はみ出た脇肉の改善はセルフケアによる対策でも十分効果的ですが、やはりすぐに解消したいのであれば美容治療によるケアが有効です。
美容クリニックであれば脂肪吸引や脂肪溶解注射など、他の部位を痩せさせずに脇肉の脂肪だけを狙って減少させるような治療もできますので、素早く理想の体型を目指したいという方は是非一度お気軽に専門医までご相談ください。
本コラムの監修医師
1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック
医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹