コラム
COLUMNファスティングダイエットの効果と注意点について解説
世の中には様々なダイエット法がありますが、その中でも最近流行となっている方法の一つがファスティングダイエットです。
ファスティングダイエットは痩せる効果は確実に得られる一方で、注意しなくては体調を悪化させたり、リバウンドしやすくなってしまったりといった注意点もあるダイエット法であり、取り入れるためには十分な知識を持つ事が大切であるといえます。
今回はファスティングダイエットの方法や効果、実際に取り組む際の注意点などについて詳しく解説を行います。
ファスティングダイエットとは?
ファスティングダイエットの「ファスティング」とは、英語由来の言葉で元は「Fasting」という単語。日本語では「食事を控える」や「断食」という意味の言葉です。
つまり、ファスティングダイエットとは日本語でいえば「断食ダイエット」、つまり食べない事によるダイエットですので、痩せる事ができる点では当然ともいえるでしょう。
もちろん、何も食べない状態を長期間続ける事は出来ませんので、ファスティングダイエットは数日間だけ断食を行う方法や、週末など体に負担がかからない日だけ食事をしない方法、1日のうち食べて良い時間を短時間に限定する方法などいくつかのやり方があります。
本格的な「断食」とファスティングダイエットの違い
断食というと、長期間に渡り食事や水分を一切摂取しないという厳しいものを思い浮かべる方も多いと思いますが、こういった断食の多くは宗教上の修行としての意味合いが強いものでもあります。
日本でも断食を修行の一環として行っているところがあり、この場合は食事という「欲望」を経つ事で、精神を鍛えるといった目的であるため、それなりに「辛い」事がある意味では重要であるとも言えます。
また、有名な所ではイスラム教のラマダンは1ヶ月間におよび断食をはじめ、様々な欲望を切り離すといった目的の修行で、ラマダン月の昼間は一切の食事などを行ってはいけないとされています。
このように、精神修行としての目的が強い、修行目的での断食がある一方で、ファスティングダイエットは主に「食事のコントロールで体調を改善させる」事が目的のものです。
ファスティングダイエットで得る事ができる様々な効果については後述しますが、精神的な修行を目的としているわけではないため、ファスティングダイエットはなるべく無理をせず、体調を整えるための様々な手法が用意されています。
場合によってはお肉など特定の食品をとらないように過ごす方法もファスティングダイエットの一つとされているため「それは断食ではないのでは?」と言われるような事もありますが、あくまでもファスティング=食事を控えるという物であって、必ずしも完全に食事を絶つ必要は無い物と考えると良いでしょう。
ファスティングは痩せる目的だけではない
ファスティングは痩せる目的で行われるものと思われがちですが、実はそうではなく、元々太っていない方も健康目的で取り入れる事が多いものです。
その理由として、現代の食事には保存料や添加物なども多く含まれているため日々の食事によって体内にこうした悪い物質が蓄積されてしまっており、ファスティングを行う事でこうした有害物質や老廃物を体内から除去していく事ができるという考え方などが根本にあると言えるでしょう。
実際にファスティングを行う事によって得られる効果は「痩せる」というもの以外にも様々な内容が期待できますので、特に体重を減らしたいという目的が無くても取り入れてみて良いのではないでしょうか。
ダイエットというのは元々は食事を調整するという意味合いの言葉で、特に「痩せる」という事を意味するわけではありませんので、ファスティングダイエットはダイエットそのものであるとも考えられます。
ファスティングダイエットの効果
実際にファスティングダイエットを行う事で期待できる効果は下記の通りです。
体重コントロール(痩身)
人は食事によって摂取したエネルギーで活動しているため、食事量が減ればその分を体内の脂肪などから得たエネルギーによって補う事となり、高い痩身効果が得られます。
単純に全く食べないで過ごすと考えると、例えば20代の女性における平均的な1日の消費エネルギーは1660kcal(運動なども殆どしない場合)なので、脂肪でいえば230g程度燃焼するといった計算になります。
実際には体内の水分量減少であったり、食事量の減少によってエネルギーが消費されにくくなる事であったりと様々な要因が絡むため単純に計算できるものではありませんが、痩身効果は確実に得る事ができます。
消化能力、排泄能力の回復
食事は生きていくためのエネルギーを摂取するために誰でも必ず必要なものですが、食事をとるとそれを消化吸収するために内臓器官が働き、負担がかかります。
食事量が多ければこの負担は当然大きくなり、1日3食をしっかりと食べていたり、夜遅くの寝る直前などに食べていたりすると内臓は常に負担がかかっている状態です。
ファスティングによってこうした内臓への負担を大幅に軽減する事で、消化器官の修復が勧められたり、腸内細菌のバランスが整うようになり、体内の消化能力や排泄能力を正常な状態に回復させて行く事が期待できます。
しっかりと消化・吸収ができるようになる事で食事による栄養摂取がより効率よく行えるようになり、また老廃物などがしっかりと排泄されるようになる事で、便秘などの症状改善やむくみの改善といった効果が期待できます。
ストレス耐性の強化
「腸は第二の脳」といわれたり、腸脳相関という言葉があるように腸内環境と脳というのは密接な関わりがあります。
ファスティングによって消化器官である腸が休まると、腸内における善玉菌も増殖して腸内フローラが整うとされていますが、腸内フローラが整う事は脳にもいい影響を与え、ストレスなどを感じにくい「安定した精神性」の獲得に繋がるといわれています。
ストレスへの抵抗力が低くなると、様々なストレスによって体調を崩しやすくなったり、肌や髪といった美容面での悪影響にも繋がりますので、腸内環境を整える事はとても大切です。
免疫力の向上や肩こりなどの改善
内臓器官の回復や腸内環境が整うという事は、全身の血流改善、そして免疫力の改善にも繋がります。
血液が体の隅々までしっかりと細胞の活動に必要な栄養を届けられるようになる事で、肩こりや疲れやすさといった不定愁訴も改善が見込めるでしょう。
ファスティングの注意点
このように様々な「良い点」があるファスティングですが、一方でやり方によっては体調を悪化させてしまうなどトラブルに繋がる可能性もあります。
ファスティングを行う上での注意点は下記の通りです。
極端な食事減少による体調不良
普段から沢山の量を食べている方が、急に何も食べなくなるなど急激な食事量の減少を行うと、体がその急な変化についていく事ができません。
場合によっては吐き気などの症状が強くなる事もあったり、胃酸の分泌量などが過剰となって食道などにダメージを与えてしまう可能性も考えられます。
ファスティングを行う際はゆっくりと食事を減らしていくなど、正しい方法で行う事が大切です。
水分不足による脱水症状
人は食事を取らなくてもある程度は生きていけますが、水分はどんどん失われていくため、水を飲まずにいると短期間で重大なトラブルに繋がります。
食事をしない場合、意識的に水分をとらないと摂取量が不足してしまうケースもあり、脱水症状などによる深刻な体調不良へと繋がる可能性がありますので、水分に関しては十分に意識して摂取するようにしましょう。
低血糖状態
糖は脳の唯一のエネルギーであり、血糖値が極端に低くなると脳が適切に働かなくなり、場合によっては意識を失うような状態となります。
ファスティングは食事による糖分の摂取を絶つため、体質によっては急激な低血糖状態となって重大なトラブルに繋がってしまうケースもあります。
糖の吸収は特に素早く行われますので、低血糖状態に陥った時のために飴玉など糖分確保の用意をしておき、危険を感じたらすぐに食べれるようにしておきましょう。
ファスティングは間違った方法で行うと深刻なトラブルに繋がってしまう可能性もあるものですので、出来れば専門の施設などで行うか、個人で行う場合はあまり強い負担がかかるような内容ではなく、少し食事を減らす程度といった簡単な方法で取り入れるようにした方が良いでしょう。
ファスティングダイエットの方法
ファスティングダイエットには様々なやり方がありますが、その中でも特に負担が少なく、準備も簡単な「週1ファスティング」をご紹介します。
ファスティングする日を決める
ファスティングを行う日はあまり体に負担をかけない方が良いので、休日など1日リラックスして過ごせる日を選ぶと良いでしょう。
今回紹介する週1のファスティングであれば強い負担はないため、毎週決めた曜日に取り入れてみても大丈夫です。
ファスティングは前日から準備
食事をしない「ファスティングの日」を決めたら、その前日は18時頃までに食事をすませましょう。
食事の内容についても、なるべく揚げ物など体に負担がかかりやすい内容ではなく、消化しやすい和食などを選ぶと良いでしょう。
お酒に含まれるアルコールや、コーヒー・お茶などに含まれるカフェインも体に負担となりやすいので、できれば水やノンカフェインの飲料を飲むようにしましょう。
ファスティング当日は水分をしっかりとって
ファスティングを行う当日は基本的に固形の食事をとりません。
いつも沢山食べている方など、急すぎる食事量の変化で大きな負担になってしまう可能性がある場合は野菜や果物で作ったスムージーや酵素ドリンク、発酵食品である味噌を使った味噌汁などであれば摂取してもOKとする方法もあります。
注意点としては食事はとらなくても水分は積極的にとるようにして、1日に2リットル程度の水を飲むようにすると良いでしょう。
水はできる限り常温で、内臓への負担をかけないようにするとより効果的とされています。
ファスティング中は激しい運動などはせず、運動をする場合も軽いウォーキング程度が良いでしょう。
なるべくリラックスして1日を過ごすようにしつつ、体調不良を感じたら中止するようにしましょう。
ファスティング翌日は軽めの回復食から
ファスティングを行った翌日は、急に沢山の量を食べるとせっかく内臓を休めたのに強い負担がかかってしまいます。
普段の半分以下の量にしたり、揚げ物など負担が大きい食事を控えた軽めの回復食からスタートするようにしましょう。
ご飯やうどんなど、炭水化物がメインの食事は消化吸収への負担が少ないため、こうした内容を中心に食べるとよいでしょう。
内臓への負担が大きい脂質の吸収を阻害する薬などもあります
ファスティングは、単純に痩せるという効果だけではなく消化器官をはじめとした各内臓器官への負担を減らすことで様々な健康効果が期待できるダイエット方法です。
食事を全くとらないなど急激な変化は体調への危険もあるため推奨できませんが、体への負担が少ない程度に部分的に取り入れてみたり、専門の医師などが監督している中で行うのであれば、体調改善に有効であるといえるでしょう。
城本クリニックでは、食事方法の指導や消化吸収を行う際の負担が大きい脂質の分解を抑える薬による痩身なども取り扱っている他、体の機能を回復させるための各種注射治療なども取り扱っております。
それ以外にも手軽に部分痩せを行う方法など様々な痩身治療を取り扱っておりますので、体型変化や体調の改善をしたいという方は、是非一度お気軽にご相談いただければ幸いです。
本コラムの監修医師
1978/04:富山医科薬科大学医学部医学科入学
1984/03:富山医科薬科大学医学部医学科卒業
1984/06:大阪市立大学医学部付属病院研修医
1986/04:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学専攻
1990/03:大阪市立大学大学院医学研究科外科系外科学修了
1990/04:田辺中央病院医長
1991/04:城本クリニック
医学博士 / 日本美容外科学会専門医
第105回日本美容外科学会 会長
城本クリニック総院長 森上和樹